人民元改革、人民銀総裁発言に慎重な見方も 為替の変動幅は、本当に拡大するのか

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11月20日、金融改革に関する中国人民銀行の周小川・総裁発言を受け、市場では人民元相場の変動幅が近く拡大されるとの見方が出ている一方、改革が迅速に行われるとの期待を過度に持つことをけん制する慎重な意見も出ている。写真は3月、北京で撮影(2013年 ロイター/Jason Lee)

[北京 20日 ロイター] -中国の為替相場の改革に関する中国人民銀行(中央銀行)の周小川・総裁発言を受け、市場では人民元相場の変動幅が近く拡大されるとの見方が出ている一方、改革が迅速に行われるとの期待を過度に持つことをけん制する慎重な意見も出ている。

周総裁の発言は中国・共産党中央委員会第3回全体会議(三中全会)の決定事項の手引書で明らかになった。総裁はこの中で、人民元の柔軟化と市場実勢に基づく相場形成に向け、人民元の変動幅を緩やかに拡大する方針を示した。

これに対し、クレディ・アグリコル(香港)のエコノミスト、DARIUSZ KOWALCZYK氏は人民銀が近く人民元相場の変動幅を拡大することを示している、と指摘。「人民元は一段と上昇するかもしれない」と述べた。

一方、20日の取引からは人民元の自由化に向けた取り組みが進められるような兆しはほとんどうかがえなかった。

人民銀はこの日の基準値を2005年の人民元切り上げ以降の最高値に設定した。だが、ディーラーによると、人民銀の代わりに行ったとみられる国営銀行の元売りで上値は抑えられた。

さらに、基準値がスポット市場に対して継続的に元安水準となっていることにも、人民銀が人民元の上昇を抑えようとする意図が見受けられる。

RBSのエコノミスト、Louis Kuijs氏とTiffany Qiu氏は顧客向けノートの中で、「人民銀は人民元がさらに上昇しないよう、引き続き積極的に介入している」と指摘した。

また、一部のアナリストは金融改革が迅速に行われると期待しすぎることに慎重な見方を示したうえで、政策当局者の一部では、急速に人民元を自由化すれば、中国経済が資本の流れの変動にさらされるとの懸念が浮上していると指摘している。

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