電子部品業界、ポスト・スマホへの思惑

自動車へアクセル踏む電子部品業界

11月20日、スマホ市場に変調の兆しが出てきた今、電子部品業界は、自動車に熱い視線を送っている。写真は10月、IT・エレクトロニクス見本市CEATECで撮影(2013年 ロイター/Yuya Shino)

[東京/大阪 20日 ロイター] -電子部品業界は、産業の栄枯盛衰を映す鏡のような存在だ。テレビや半導体で一時代を築いた日本の電機メーカーの凋落とともに、部品の主要供給先はスマートフォン(スマホ)で潤う米アップルや韓国サムスン電子<005930.KS>に交代した。

そしてスマホ市場に変調の兆しが出てきた今、自動車に熱い視線を送っている。環境対策や安全性能の向上にはエレクロニクスの力が欠かせず、自動車向けにコンデンサーやモーターの需要が増え続けている。

自動車向け強化へ買収攻勢

電圧を安定させる電子部品、積層セラミックコンデンサーで世界シェア首位の村田製作所<6981.T>は、スマホ市場の急拡大とともに業績を伸ばしてきた。村田が作るゴマ粒よりもはるかに小さなコンデンサーにアップルが目をつけ、2010年に発売した「iPhone(アイフォーン)4」に搭載。以来、村田の製品を採用するスマホメーカーが増加した。

その村田が12年から13年にかけ、買収攻勢に打って出た。まずは12年、MEMS(微小電気機械システム)センサーを手掛けるフィンランドのVTIテクノロジーを、今年6月には子会社を通じてNEC<6701.T>の磁気抵抗センサー事業部門を取得した。さらに8月、水晶振動子を手掛ける東京電波(東京都大田区)を完全子会社化した。

いずれも狙いは自動車向け事業の強化。例えば、車体がどれだけ、どの方向に動いたかを検知するMEMSセンサーは、スリップ事故を防ぐ横滑り防止装置に採用が広がると期待されている。先進国のみならず、新興国でも今後普及が加速する見通しで、すでに中国では現地資本の部品メーカーから同センサーの引き合いがきているという。

村田が自動車向けの強化を急ぐのは、スマホの市場動向に左右されにくい事業構造に転換するためだ。村田の売上高全体に占めるスマホ向けの割合は4割。アップルが「iPhone5」の生産を急激に減らした12年末から13年初頭に受注が減り、村田を含めスマホ依存度が高まっていた電子部品各社は打撃を受けた。

一方で、自動車向け事業は安定した伸びが期待できる。新興国を中心に今後も自動車の普及が見込めるだけでなく、1台当たりに搭載される電子部品が増え続けている。

排ガス規制をクリアするためマイコンでエンジンを制御するようになった1970年代以降、自動車には電動パワーステアリングやパワーウインドーといった電装システムが次々と搭載された。電気自動車やハイブリッド車といった駆動部の電動化がこれに拍車をかけ、今では運転の自動化も視野に入っている。

調査会社IHSグローバルによると、自動車1台当たりの電子部品(電池やモーターなど除く半導体)の搭載額は、2000年の210ドルから12年に316ドルへ増加。16年には330ドル近くまで増える見通しだ。「スマホ向けのような急激な伸びや落ち込みはないが、じわじわと増加していく」と、モルガン・スタンレーMUFG証券の佐藤昌司エグゼクティブディレクターは言う。

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