勝負のポイントは民主党が国民の怒りをエネルギーに変えられるかどうか

勝負のポイントは民主党が国民の怒りをエネルギーに変えられるかどうか

塩田潮

 「逃げまくる麻生首相・懸命に追い詰める小沢代表」という図である。
解散先送りを決めた首相が「臨時国会延長なし・11月閉幕」を念頭に、11月15日に外遊先で「解散は来年4月以降。だが1月通常国会冒頭解散も」と調子に乗って喋ったのを見て、小沢代表が追撃に出た。17日に党首会談を持ちかけ、「第二次補正予算を提出すべきだ。インド洋給油延長法案と金融機能強化法案の参議院での採決は見送りも」と凄んだ。政府・与党は作戦の練り直しを迫られ、国会延長を余儀なくされた。小沢代表の作戦勝ちといっていい。

 首相が逃げ、小沢代表が追い詰めるのは、いま選挙をやれば「自民敗北・民主勝利」と双方が見ているからだ。根拠は事前の情勢調査のようだが、なぜそんな数字が出るのか。
 昨日、九州の地方都市で講演した後、参加者との雑談で話がその点に及んだ。民主党の強さではなく、話題に上ったのは自民党の弱体ぶりと劣化である。年金や後期高齢者医療制度など政策が悪い、「平成の大合併」で選挙の手足となる地方議員が大幅減となったという指摘のほかに、テレビが自民党の悪口を言い過ぎるという意見も出た。
 党首力という点では、政策の基礎学力ばかりか国語の基礎学力まで疑われてパワーダウン気味の麻生首相も、いまのところ人気は小沢代表よりも上だ。結局、多くの国民が、長期政権を続けてきた自民党に対して「こんな日本に誰がした」と不満を抱いているのと、本格的な政権交代という議会制民主主義の醍醐味を味わってみたいと考え始めたからだ。

 だが、政権交代の実現には最終的に国民の怒りの爆発が必要という気がする。民主党政権待望論が盛り上がらず、いま一つパワー不足の民主党は、総選挙までの数ヵ月で「国民の怒り」をエネルギーにすることができるかどうか。勝負のポイントはそのへんだ。
(写真:今井康一)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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