「突然死」した新興マンション会社、最強営業軍団の身の振り方は…


 今年8月に資金繰りに窮し、民事再生法の適用を申請した不動産デベロッパーのアーバンコーポレイション。負債総額は2558億円に及び、今年倒産した不動産デベロッパーとしては最大だ。それ以上に黒字決算の下での「突然死」は不動産業界を一段と冷え込ませた。

アーバンの営業マンはモーレツな働きぶりに定評がある。それだけに、彼らの身の振り方には注目が集まっていた。

ところが、今のところ主立った社員はほとんどがアーバンにとどまっているという。現在同社は再建計画の策定中で、スポンサーに数社が名乗りを上げていることもあり、再建は可能だと判断している社員が多いとみられる。

スポンサー候補としては大和ハウス工業などの名前が挙がっており、12月中旬の最終入札に向けてアーバンの資産査定が進行中だという。

「アーバンでは30歳そこそこで年収が1500万円という営業マンが珍しくなかった。ほかの不動産会社ではそんな待遇は望むべくもない。再建の可能性があるなら、とどまったほうが得策でしょう」(アーバンと取引のある不動産業者)。

労働市場にあふれる不動産関連の人材

アーバンを皮切りに新興の不動産デベロッパーが続々と破綻したため、今、不動産業の人材、特に営業マンは労働市場にあふれている状態だ。転職紹介会社によると、堅調なデベロッパーでも今業務を拡大しようという意図はないため、営業職の求人は増えていない。

「不動産関連で唯一需要が強いのは、会計や金融に精通した人材。必ずしも不動産のバックグラウンドは求められていない」(ヘッドハンティング会社幹部)。

たとえば、RE�T(不動産投資信託)の投資対象になっているマンションの管理業者から上がってくる報告書を、四半期決算に整理できる能力を持った人材が不動産業界には足りないという。

「RE�Tにしても私募ファンドにしても、こうした会計処理をきちんとこなせる人材の不足には悩んでおり、今でも需要は強い」(私募ファンド経営者)。

総じて営業マンの需要は小さく、マンションの再販業者くらいしか引き受け手はないとみられる。資金繰りに苦しむデベロッパーやゼネコンが手放した物件を買いたたき、転売してサヤを抜く商法である。とはいえ、デベロッパーの淘汰が終わって物件の供給が尽きるまでの2年ほどしかもたないビジネスモデルで、不動産不況のあだ花的存在だ。

アーバンに代表される新興デベロッパーは、建設したマンションをRIETや私募ファンドに一棟丸ごと転売し、回収した資金で次の物件を仕入れるという自転車操業を繰り返してきた。買い手のファンドにカネが集まらなくなった現在、経営破綻が続く可能性はなお高い。当分は冬の時代が続きそうだ。

しかし、「不動産の営業マンがほかの分野に転身することは少ないのでは」と不動産会社幹部は語る。「不動産の営業は緻密なノウハウというよりは、義理人情の勝負という面がある。それだけにほかの業種への転身には営業マン自身に抵抗がある」(同)。アーバン創業者の房園博行社長はバブル崩壊後の不動産不況の中で独立し、頭角を現した。同様のサクセスストーリーを目指す後進も多いだろうが、道は険しそうだ。

(週刊東洋経済)

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