5大銀決算にアベノミクスの追い風

下期に問われる真の実力

11月14日、大手5大銀行グループが発表した2013年4―9月期決算は、4グループが通期業績を上方修正する好調な内容となった。写真は都内で8月撮影(2013年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 14日 ロイター] - 大手5大銀行グループが発表した2013年4―9月期決算は、4グループが通期業績を上方修正する好調な内容となった。

アベノミクス効果による株高や景気回復基調の「追い風」に助けられた構図で、本業の貸出収益は低迷したままだ。日銀が異次元緩和の反射的な効果として意識しているポートフォーリオ・リバランスも、本格的には動き出していない。アベノミクス効果に一服感が出ている今年度下期以降、大手銀は真の実力を試される正念場を迎えそうだ。

与信関係費用は戻り益、株式の減損も大幅改善

2014年3月期当期利益予想を上方修正したのは、三井住友トラスト・ホールディングス<8309.T>を除く4グループ。三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>とみずほフィナンシャルグループ<8411.T>はそれぞれ前年を上回る水準を見込む。

最大の要因は、景気回復と株高の恩恵だ。景気回復により、企業倒産が減少し、各行の与信関係費用は大きく改善、引当金の取り崩し益も発生している。また、株高で保有株式の減損費用も大きく減少し、持ち合い株式の売却による益出しも大きく積み上がっている。

ただ、各グループとも絶好調だった今年度上期に比べ、下期の収益見通しは抑制的に見積もっている。足元で100円をうかがっているものの、円安進展テンポは鈍くなっており、それに対応して株価の上昇テンポも急速に鈍化、そのルートからの収益増を過大に見込めないからだ。

対顧客ビジネスに手応え、国内貸出は低迷続く

一方で、国債ディーリング益に収益を依存してきた大手銀行の構造が大きく変わりつつある。

国債などの債券関係利益の減少幅は、三菱UFJが前年比約2000億円、みずほが同1700億円、三井住友フィナンシャルグループ<8316.T>が1100億円となった。その分を貸出金や手数料収入などの対顧客部門で打ち返すのが各グループが目指す姿だが、収益的には道半ばだ。

三菱UFJの対顧客部門は前年比1300億円増益。みずほは同752億円増益。いずれも市場部門の減益を補い切れてない。

ただ、「市場部門の収益に依存する度合いは低下が進んでいる。顧客部門は内外で順調に伸びている」(佐藤康博・みずほFG社長)、「顧客部門の伸びに手応えを感じてる」(平野信行・三菱UFJFG社長)とし、各グループは収益構造の改革が進んでいるとしている。

しかし、本業の貸出ビジネスは依然低迷。海外貸出は伸び率を下げながらも拡大を続けているものの、国内貸出は本格的な資金需要の盛り上がりに至っていない。「利ザヤ低下プレッシャーが大きい」(宮田孝一・三井住友FG社長)中で、貸出金収益の減益傾向は止まっていない。

格付け会社のフィッチ・レーティングス・ディレクター、堀内千花子氏は「貸出はアベノミクスの影響で経済が回復して、大幅な貸出増に結び付くという段階にはまだ本格的に至っていない。今回の増益の大きな部分は、アベノミクスへの期待に基づく株式市場の上昇に基づくもの」と述べている。

(布施太郎 編集:田巻一彦)

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