100円ショップ「セリア」、強さの秘密 驚異の25期連続増収!今期は最高益

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セリアの年間出店数は、東日本大震災後は62店までペースが鈍ったが、2013年3月期は90店、2014年3月期は100店以上に回復する。さらに河合常務は「2016年3月期からは200店ペースの出店を10年続けられるだけの体制を整える」と力を込める。

2007年には集客効果の高い商業施設にテナントとして入居するため、企業ブランドを一新し、新店舗は「セリア生活良品」から「カラー・ザ・デイズ」へ変更。その効果もあり、今では店舗を小型化しても、ボリュームゾーンで売り負けない体制が整っている。

出店形態の多様化へ布石

実は、セリアは前期にPOSシステムを刷新している。さらに小型の出店を可能にしつつ、GMS(総合スーパー)や、ライバル店舗の代替など、多様な出店を狙っているのだ。多店舗化が進めば、開発力や購買力はさらに上昇し、品揃えを広げる余地は広がる。

1997年の消費増税は100円ショップだけでなく、ファーストリテイリングやニトリ、ヤマダ電機などが台頭する契機となった。海外を含め、消費増税はディスカウンターの台頭など、流通再編を引き起こしている。

セリアの成長は、小売業界の将来図を占う試金石になるかもしれない。

岡本 享 東洋経済 記者

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おかもと とおる / Tohru Okamoto

一橋大学社会学部卒。機械、電機、保険、海運業界などのほかマーケットを担当。2013~2015年『会社四季報プロ500』編集長、2016年「決定版 人工知能超入門」編集長、2018~2019年『会社四季報』編集長。大学時代に留学したブラジル再訪の機会をうかがう。

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