販促支援に仏政府も乗り出した崖っぷちのボジョレー商戦

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 今年も11月20日にボジョレー・ヌーボーが解禁された。ブームはすでに過去の話。輸入量は2004年をピークに減少の一途をたどり、前年比3割減となった昨年に続き、今年もさらに2割減の見通し。でもボジョレーは年間で最もワインが売れる重要な商機。これ以上の市場縮小を食い止めようと業界は必死だ。

最大手のサントリーは、ユーロ高の時期に買い付けたが値上げはこらえ、販売価格を昨年から据え置いた。2番手のメルシャンは、販売価格を4~5%値上げしたが、500ミリリットルの飲み切りサイズを拡充するなど、あの手この手で策を練る。

実は、この状況に最も危機感を抱いているのがフランス本国。今年、フランス農水省は日本向けに過去最大規模の販促費用を準備した。日本での窓口のフランス食品振興会は、初めて特製ポスター10万枚を作成し飲食店などに配布。店頭販促を行う派遣人件費の一部負担も始めた。

スーパー各社もボジョレー商戦に力を入れている。ダイエーは予約が前年比10%増、イオンでも2ケタ増という健闘ぶり。ただ、低価格品の投入で顧客拡大を図る店も多い中「スーパーの品ぞろえ拡充で質の悪い商品も出回るようになり、ボジョレー自体の評価が下がりつつある」(小売り関係者)との声も。市場縮小に歯止めはかかるか。

(佐藤未来、鈴木良英 =週刊東洋経済)

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