日本が「爆安の再エネ」を輸入する冴えた方法 パリ協定を遵守する「奥の手」とは?

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湿気が多く晴天率の低い日本の気象条件では、砂漠地帯のような低コストでの発電は到底不可能だ(写真:abriendomundo/iStock)
パリ協定の遵守が迫られていることもあり、日本では再生可能エネルギーの利用拡大が喫緊の課題となっている。だが、発電の不安定性やコスト面の問題などから、欧州諸国に比べて大幅に遅れているのが現状である。
そこで考えられるのが、割安になってきた海外の再エネ電力の利用である。前回(「水素の輸入』がエネルギー安全保障の秘策だ」)に引き続き、『日本の国家戦略「水素エネルギー」で飛躍するビジネス』の著者・西脇文男氏が、再エネ電力の輸入についてリポートする。

欧州諸国に比べて大幅に遅れている

今年7月に閣議決定された第5次エネルギー基本計画に、再生可能エネルギーの「主力電源化」が明記された。

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2012年の再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)導入以来、太陽光発電を中心に再エネ導入は急速に進んだ。それでも、わが国の発電電力量に占める再エネの比率は15%にすぎない。再エネをすでに主力電源化している欧州諸国は、ドイツ33%、イタリア35%、スペイン32%、イギリス29%など、日本のはるかに先を行く(いずれも2017年、出典:自然エネルギー財団およびIEA=International Energy Agency)。

この大きな理由の1つが、発電コストの差だ。

わが国の2018年度のFIT買い取り価格は、1kWh当たり太陽光が18円(2000kW以上の大口は入札制)、風力は20円だ。FIT導入初年度の2012年度には太陽光40円、風力22円だったので、太陽光は半分以下に低下している。

それでも海外と比べると著しく高い。ドイツの2018年FIT(入札制)の平均落札価格は、太陽光9.0円、風力9.5円(1ユーロ=130円で換算)と、火力発電と同等程度まで下がっている。

今後日本で主力電源として活用していくためには、火力発電に比べ割高な発電コストの低減が欠かせない。

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