日銀政策委員会に、下振れリスク警戒の声

景気・物価の先行きに見方分かれる兆候

11月13日、日銀の政策委員会の中から経済・物価の先行きについて、下振れリスクを警戒する声が増えている。都内の日銀本店前で10月撮影(2013年 ロイター/Yuya Shino)

[松本市(長野県)13日 ロイター] -日銀の政策委員会(ボード)の中から経済・物価の先行きについて、下振れリスクを警戒する声が増えている。政策委員の中にはそもそも2年程度で2%の物価安定目標の実現に懐疑的な見方もあり、経済・物価の先行きに対するボード内の見方が分かれ始めている。

宮尾龍蔵審議委員は13日、松本市での講演で日本経済の先行きについて、海外経済、家計の雇用・所得、消費税率引き上げの影響などに「上下双方向の不確実性がある」とし、「私自身は全体としてみれば、やや下振れリスクを意識している」と言及。その後の会見で「物価見通しにも、やや下振れリスクがある」と明言した。

詳細は不明だが、白井さゆり審議委員も10月31日の金融政策決定会合における「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)の議論において、より下振れリスクを意識した記述に変更する議案を提出し、反対多数で否決された。

展望リポートには、経済・物価のリスクについて上下にバランスしていると明記され、黒田総裁も同様の見解を示した。

この日の宮尾委員の発言では、下振れリスクへの懸念に言及し、黒田総裁が会見で示してきた認識とギャップがあることをうかがわせた。

そもそも物価見通しに慎重な佐藤健裕、木内登英の両審議委員は、展望リポートにおける「消費者物価の前年比は、見通し期間の後半にかけて2%程度に達する可能性が高い」との記述自体に反対している。

白井委員と合わせ、4人が先行きの経済・物価のリスク認識について、多数意見と違った見方を持っている可能性が出てきており、ボード内に微妙なずれが生じている格好だ。

米財政協議の帰すうや、米連邦準備理事会(FRB)による資産買入縮小の時期などによって、世界経済や国際金融・資本市場の動向に大きな変化が生じる可能性がある。

また、国内的にはインフレ期待の押し上げに重要な賃上げ動向も、大きく変動する余地がある。こうした変動要因が景気下押し方向に動き出せば、楽観的とされる日銀の経済・物価見通しが下方修正を迫られる事態も出てくる。

日銀ボード内での認識の濃淡は、こうしたリスク要因の多様さと先行きの不透明感の強さを反映していると言えそうだ。

(伊藤純夫 編集:田巻一彦)

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