脱ボランティア!ビジネスに"昇格"する秘訣 初心者から人気店を作った、20代女子たち

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仕入先との手数料の再交渉、という大企業の営業マンさえ嫌がるようなこともやってのけたのも、もちろん店長・副店長の若い2人だった。

ひょっとしたら、怒られたり付き合いが終わってしまうお店もあるのでは……、と彼女たちも内心ドキドキだったようだ。しかし、結果的にどの店も理解を示してくれて、契約解除になったお店は1軒もなかった。

おそらく地元のお店の方たちは、「この子たちは、ここで本気で事業をやっていくつもりなんだな」と思ってくれたに違いない。 顔なじみの若い女の子たちから、ビジネスのパートナーとして、しっかり存在を認識してもらったのだ。

ヒット商品登場!「おやじのおまかせセット」

ビジネスのスキームは整いつつあった。そしてお店の成功に欠かせないのは、やはり「ヒット商品」の存在だろう。

復興デパートメントがまだ構想段階の頃から、個人ボランティアを通じて知り合った田中鉄太郎(てつにい)は、「漁師さんの大漁旗を、被災した地元のお母さんたちと商品にしてよみがえらせたい」と商品開発をしていた。「これは絶対イイ! ネットで売るときは手伝うから!」と僕は約束していた。

大漁旗のブレスレットをはじめとした「結日丸」の商品は、立ち上げ当初からヒット商品となった。

つねに人気上位にあるヒット商品「おやじのおまかせセット」は、副店長が地元の魚屋さんと考案したもの

そして、復興デパートメントのサイト上で、最近までつねにランキング1位に君臨していた海の幸の詰め合わせ「おやじのおまかせセット」。これは副店長のともみが、もともと知り合いだった地元の魚屋さんと戦略会議を行って、誕生したものだ。

「この値段でこの量!?」「鮮度がいいし、ウニまで入っている!」と喜ばれるおやじさんセレクトの旬の魚介類。その質と量には驚かれる。

実店舗のように「魚のさばきサービス」の有り無しを選べるようにしたのも、すこぶる評判がよかった。これも、副店長の発案によるものだ。

2012年7月末、「ヤフー石巻復興ベース」が開かれたのを機に、僕らは移住し、彼女たちとひざを突き合わせて、プロジェクトができるようになった。

以前も紹介したヤフー石巻メンバーの紅一点だった角田が、ヤフー上のプロモーションページを四苦八苦しながら作る中で、おやじのおまかせセットをフィーチャーし、徐々にヒット商品になっていった。

大ヒット商品がひとつでも生まれると、サイト全体の風向きが大きく変わる。

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