ゲームソフト業界は成長ピーク後の市場変動の影響を緩和する能力がカギ《ムーディーズの業界分析》


コーポレートファイナンス・グループ
アナリスト 澤村美奈

 日本の家庭用ゲームソフト業界の見通しはポジティブである。この見通しは、今後12-18ヶ月間の業界ファンダメンタルな信用状況に対するムーディーズの見方に基づいている。

サマリーオピニオン

業界の見通しはポジティブである。

格付けの見通しは安定的。短期的に格付けアクションが取られる可能性は低い。

2006年後半に発売されたゲーム機が2007年の市場成長を牽引している。

2007年に発売されたタイトルのいくつかはミリオンセラーとなった。

日本市場は成長のピークを迎え、業界は現在、安定成長期にある。

一方、日本のゲームソフトメーカーのシェアが低い海外市場では、高い成長が見込める。メーカーは地域の消費者の嗜好に合わせた製品を作る必要がある。

成長のピーク後、ゲームソフトメーカーが業界の変動性をどのように緩和していくのか、ムーディーズはモニタリングしていく。

概要
 日本の家庭用ゲームソフト業界の見通しはポジティブである。2006年後半から発売された新型ゲーム機が成長を牽引している。2007年に発売されたタイトルのいくつかはミリオンセラーとなった。日本市場は成長のピークを迎え、安定成長期に入ったが、海外市場は順調な成長を維持するだろう。

 対照的に、格付けの見通しは安定的である。今後12ヶ月間で大きな格付けアクションがとられることはないとムーディーズはみている。最近の業界全体にみられたポジティブな傾向と業界の変動性は、現在の格付けに織り込み済みである。

 業界の変動性とは、高成長期、安定成長期、縮小期で業績が大きく変動するという意味である。

 このような変動性をもたらす要因は、ゲーム機とゲームソフトの発売のタイミングである。たとえば、次世代ゲーム機が発売されれば、発売後しばらくはそれが市場の成長を牽引する。または、新型ゲーム機用の新しいゲームソフトが、ゲーム機の成長のけん引役となる。ゲーム機の需要がゲームソフトの需要を喚起する。ゲームソフトメーカーは、最も普及しているゲーム機、あるいは最も普及すると予想されるゲーム機に対応するタイトルの開発を増やすことで、更なる成長を促進できる。

 このような環境の中で、大手ゲームソフトメーカーは変動性を緩和するために、マルチプラットフォーム戦略とワンコンテンツマルチユース戦略を実施してきた。

 マイクロソフトのXbox360、任天堂のWii、ソニーのPS3等の現行機が2005年後半から2006年にかけて発売され、任天堂のDS、ソニーのPSP等の携帯型ゲーム機がこれに続いた。新型ゲーム機が国内外のゲームソフト市場の成長を牽引しており、この傾向は今後も続くとムーディーズはみている。したがって、業界の見通しはポジティブである。

 ゲームソフトの需要はゲーム機の普及度と密接に関連している。ゲームソフトメーカーにとって、各ゲーム機の需要を予測し、それに即した開発計画を立案する能力は、業績を安定させる上で非常に重要である。

 しかし、ゲームソフトメーカーが次のような課題に直面している。(1) アミューズメントの選択肢が急速に変化、多様化する中で、魅力的なコンテンツをスピーディーに投入すること、(2) グローバルなシェアを確立、維持すること、(3) 開発コストを抑制しながら、最先端の技術開発の必要性に対応すること。

 2007年の世界のゲームの出荷金額は国内出荷金額の4倍だったが、日本のソフトメーカーの世界市場シェアは低い。日本のソフトメーカーがシェアを上げていくには、地域の消費者の嗜好に合わせた製品を投入する必要があろう。

図表1:日本の格付け対象ゲームソフトメーカーの格付け
会社名 格付け 見通し 格付け対象債務(10億円)
コナミ A3 安定的 15
カプコン Baa3 安定的 15

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