石破氏「斬り込み不足」、首相は「上から目線」 公開討論の後も、小泉進次郎氏はだんまり

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自民党総裁選の街頭演説を前に、街宣車の上から手を振る安倍首相(右)と石破元幹事長。9月15日午後、佐賀市(写真:共同通信)

現職の安倍晋三首相(63)に石破茂元幹事長(61)が挑む自民党総裁選での直接対決が14日の日本記者クラブ主催の公開討論会でようやく実現した。北海道大地震による活動自粛や首相のロシア訪問で延び延びになっていたもので、両氏は憲法改正やアベノミクス、さらには政治手法などについて斬り結んだが、「もり・かけ」問題以外は首相ペースで、政策論争でも石破氏の斬り込み不足が目立った。

この公開討論に続いて同日午後には自民党青年局・女性局主催の討論会が開催されたが、身内の論戦だけに情勢変化にはつながらなかった。対応が注目される小泉進次郎筆頭副幹事長も討論会後に記者団に対し、投票前の支持表明を避ける考えを示した。このため、「流れは変えさせない」(細田派幹部)との首相陣営の思惑どおり、今後の街頭演説やテレビ討論も「結果の決まった消化試合」となるとみられ、首相圧勝の構図は一段と固定化しそうだ。

恒例となっている総裁選立候補者による記者クラブ主催の討論会は14日午前、東京・内幸町の日本プレスセンターで行われ、約2時間に及ぶ"舌戦"をNHKが生中継した。首相がアベノミクスなど内政・外交での成果を誇示したのに対し、石破氏は首相の政治手法への批判を軸に「安倍政治の欠点」を突いたが、首相の固いガードは崩せなかった。

安倍首相、改憲実現へ強い意欲

午前10時に始まった討論会は、前半は候補者双方が選んだ特定のテーマでの政治・政策論争、後半はメディア各社代表による候補者との質疑応答という構成で進められた。

冒頭発言となる「総裁になった場合に実現を目指す政策」では、まず首相が、5年8カ月の政権運営での経済・外交における成果を強調したうえで、新たな3年間の任期で「戦後70年、一度も行えなかった憲法改正に挑戦する」と改めて改憲実現への意欲を示した。

これに対し石破氏はアベノミクスの問題点を指摘し、自らが手掛けた地方創生について「地方には多くの伸びしろがある。一人ひとりの所得を増やさなければ消費は増えない」と中央主導の経済政策の転換を訴えた。

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