遅れたみずほとのデータ共有、オリコに温度差 どうなる、みずほ。週刊東洋経済緊急ルポ<3>

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みずほは、10年のオリコのグループ会社化に際し、提携ローンの事後チェック開始を決定し、今後の課題として「入り口反社チェックの導入可否検討」 を稟議書に記載している。また、詐欺師など金融犯罪者を含むより広範な「不芳属性先(ふほうぞくせいさき)」と呼ばれる情報を共有するようオリコ側に働き かけており、みずほがオリコの入り口審査を厳格化する意図があったことは間違いない。

一方、オリコ側は実務上の問題などを理由に、みずほの提案受け入れを拒んだ。その背景に、同業他社との競争を左右する審査の迅速性を守りたい、契約の間口を極力絞り込みたくないという、オリコの営業重視の姿勢があった疑いはぬぐえない。

地銀や生損保もパートナーに含むオリコの提携ローン残高は13年3月末で1兆3000億円強ある。みずほとの提携分以外でも約5000億円ある。さ らに日本クレジット協会によると、提携ローン総残高は約3兆7000億円(11年末の推計)。これに単独割賦契約やその他ノンバンク契約を入れると、規模 は倍以上に膨らむ。

ほかの信販会社もオリコ同様に自社の反社データで入り口審査を行っている。だが、地銀や生損保など提携先金融機関の反社データが、メガバンクのみず ほと同等のものだとは考えにくい。中には、提携先が事後審査をしていないケースもあるという。だとすれば、今回の件よりもさらに多い反社契約が業界の中に 現存している。オリコの一件で、「パンドラの箱」は開いてしまった。

大西 富士男 東洋経済 記者

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おおにし ふじお / Fujio Onishi

医薬品業界を担当。自動車メーカーを経て、1990年東洋経済新報社入社。『会社四季報』『週刊東洋経済』編集部、ゼネコン、自動車、保険、繊維、商社、石油エネルギーなどの業界担当を歴任。

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