池袋・錦糸町に逆転された「大塚・両国」の反撃 繁栄から衰退、だが復活の兆しが見えてきた

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両国駅はかつて東京の東の玄関口として錦糸町駅よりも栄えていた(写真:マリンバ/PIXTA)

今年1月6日、両国駅の3番線ホームからサイクルトレイン「B.B.BASE」が初出発した。

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南武線で運行されていた209系を改造した「B.B.BASE」は、車内に自転車ラックが設置されるなど自転車愛好家たちを満足させる仕様になっている。近年、自転車と鉄道をコラボさせた輪行を楽しむファンが増えており、「B.B.BASE」はそうした輪行ファンを取り込む専用列車として計画された。

「B.B.BASE」はいくつかのコースが設定されるが、JR東日本千葉支社のツアー商品という扱い。そのため、両国駅を基点に房総半島方面を巡るコースが主になっている。また、基点となる両国駅は自転車の積み込みがしやすいように、段差がなくスムーズに3番線ホームに入場できる専用ゲートが設置された。

東京の東の玄関口として栄えた時代があった

一般公開日に姿を見せたサイクルトレイン「B.B.Base」(筆者撮影)

この列車が発着する両国駅3番線ホームは、長らく房総半島方面の特急列車専用ホームとして使用されてきた。しかし、1988年に両国駅発着の特急列車が廃止され、以降は新聞輸送列車が細々と発着するだけの寂しい状況になっていた。その新聞輸送列車も2010年に終了し、3番線ホームは使用されずに放置された。

両国橋駅(現・両国駅)は、総武鉄道(現・総武線)の駅として開業。現在の総武線は隅田川を渡って浅草橋駅・秋葉原駅へと直通しているが、当時は両国橋駅までしか線路が開通していなかった。そうした動線的な事情もあって、両国橋駅は東京の東の玄関口として栄えた。

しかし、両国駅の栄華は長く続かない。1932年、総武線が西へと延びて、御茶ノ水駅まで開通。翌年には中央線へ乗り入れが開始された。両国駅は中間駅に転落し、少しずつにぎわいを奪われていった。

両国駅に決定的な瞬間が訪れたのは、総武線快速電車の運行だった。1972年、国鉄は総武線の混雑緩和を目的に快速電車の運行を開始。総武線快速電車は東京駅発着となったが、線形的な事情もあって両国駅には停車せずに錦糸町駅に停車することが決められた。

快速電車が止まらない両国駅と停車する錦糸町駅。錦糸町駅周辺がにぎわい、両国駅が衰退するのは自然な流れだった。

両国駅と錦糸町駅と同じ構図が、山手線の大塚駅と池袋駅にも当てはまる。

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