営業から運用、調査と意外に広い保険の仕事【生保編】

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相場の読みは独特の“勘” 世界を相手に為替運用

もう一人、運用部門で活躍する人を紹介しよう。第一生命の高橋一彰氏だ。高橋氏は今、外国為替を運用する外国債券部外国為替グループの課長補佐。今の部署に来て2年目だ。

同部署は社内のあらゆる為替取引を管理しており、高橋氏は主にポンド取引を担当。英国の経済指標の分析や為替動向の見通しを立てるほか、他部との折衝事も多い。会社方針に従ったリスクヘッジの実行や、さらには超過収益の獲得が重要なミッションだ。

入社直後は首都圏の業務推進部に配属。3年間、同部署で働くうちに、「世の中全体をマクロ的な視点で考えられる判断力を身に付けたい。せっかくならやりたいことをやろう」と、キャリアチャレンジ制度を利用して運用部門を志願した。

ただ、異動直後は「運用のことなんて全然わからなかった」という状態。1年間、株式部で投資調査業務に携わる傍ら、決算書の読み方や証券アナリストなどの資格試験の勉強を行った。基礎的な知識が身に付いたところで財務部に異動し、3年間、融資業務を経験した。そのうち、海外経験を積みたいという思いが強まり、再びキャリアチャレンジ制度を利用。1年間、海外トレーニーとしてロンドンの邦銀支店に勤めた。

今の仕事を進めるうえでは、「アンテナをつねに張っておく」ことを怠らない。相場を見通すための独特の“勘”を養うためには、つねに市況をチェックしたり、ディーラーとの会話など実践的な訓練を積み重ねたりと、生の情報を取り込む必要がある。

「たかだか1週間の夏期休暇でも不安になる」と高橋氏。1週間でも「勘が鈍ってしまいなかなかリズムが戻ってこない」。ただ、仕事にはメリハリも必要で、外国為替市場をウォッチするために夜中まで起きて仕事をすることはないし、休日出勤することもあまりない。

仕事のやりがいは「世の中で起きているダイナミックな動きが、直接自分の仕事に影響してくるところ」(高橋氏)。何が相場を動かすかは正直わからない。そのわからないところを「自分の勘でいかに感じ取って判断するか」に仕事の面白さを感じている。

今後のキャリアについては、「あと1~2年は為替の世界で経験を積みたい」と高橋氏。為替の世界では職業柄、長い経験を持つ人が多い。「もう少しこの世界にわが身をつからせて自分を高めたい。その後は他の資産運用部門のフロント業務で、経験を生かしたい」との志を持っている。

生命保険会社の“かなめ”と呼ばれ、また同時に保険会社で働くことの“醍醐味”を感じる部署、それが保険金査定と支払いに携わる部門だ。

明治安田生命の槙崇裕氏は01年入社。支社での営業職員支援の事務、保険販売の営業実習などを経て、03年に保険金部保険金支払いグループに配属された。通常、異動は2~3年で行われる。

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