「時短英語」の鍵は課題発見メソッドにあった 英語教育のプロ集団による、科学的学習法

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課題の正確な発見こそが時短の鍵

ENGLISH COMPANYの根幹を成す、第二言語習得研究の知見をベースにした課題発見メソッド。その効果、有用性を痛感しているのがパーソナルトレーナーたちだ。彼ら・彼女らの中には、大学で言語教育学を学んだ人もいれば、比較言語学や翻訳史を学んだ専門性の高い人材も少なくない。パーソナルトレーナーは採用された後、研修を通して第二言語習得研究の知見をとことん学び、トレーニングをスタートさせる。

受講生も自覚できない深層の課題を掘り起こしていく

実は、英語力を身に付けるうえで、最も重要なのはトレーニングメソッドそのものではない。シャドーイング、ディクテーション、多読、サイトトランスレーション……こういった英語力向上のためのメソッドを耳にしたことがある人も少なくないだろう。しかし、それぞれのメソッドにはターゲットとする課題がある。シャドーイングと多読とでは、解決しようとする課題が異なるのだ。好きな方法を選んでそれに取り組めばよい、というものではない。

そこで重要になるのが、学習者のつまずきを探り出し、つまずきの原因を発見することだ。ほとんどの学習者は自分が苦手としていることの本質的な理由がわからない。リスニングが苦手なことは自覚していても、なぜリスニングが苦手なのか、その理由を正しく把握できないのだ。

トレーナー 北森舞

そこで、なぜ苦手なのか、何が課題なのか、という課題発見で大きな役割を担っているのがパーソナルトレーナーである。課題を正確に発見できれば、その課題に効果のあるメソッドを用いることで時短学習は達成できる。では、パーソナルトレーナーは受講生の課題をどう発見しているのか? 具体的に二つのケースを基に、課題発見のプロセスをパーソナルトレーナーの北森舞さんに語ってもらった。

課題発見のプロセスがわかる二つのケース

まずは男性Aさんのケースだ。

「Aさんはデザイン系の会社にお勤めの40代の男性でした。外国人の同僚が多いとのことで、その方たちとしっかりコミュニケーションを取り、これまで以上に仕事を円滑に進めたいとの希望をお持ちでした」

過去にも英会話学校に通ったり、英語学習のメソッドを調べたりして英語力の向上を図ってきたAさん。しかしどれもうまくいかなかったという。最初に受けたTOEIC®の模試でも400点ほどの結果だった。

「まずオリジナルの課題発見メソッドである速読リーディングによって、課題のアセスメントを行いました。その結果、Aさんの場合、音声知覚に問題があることがわかりました。音声変化が生じたところを聞き取れていなかったので、まずは音声変化のルールを覚えていただくことから始めました」

ネイティブが英語を話す時、文の中で一部の音が脱落したり、前後の音が連結して発音されたりする。こうした音声変化にはルールがあるが、大半の学習者はそのルールを知らない。

ディクテーションという、英語の音源をそのまま書き取るトレーニングで、聞けていない箇所を明確にした後、最初から最後まで英語の音源と完全にそろえて読むオーバーラッピングが行われた。

その後も、英文を日本語に訳しながら読んでしまう返り読みと呼ばれる現象を矯正するチャンクリーディングなどのトレーニングで英文の処理スピードを上げた。90日後、Aさんは外国人の同僚が何を話しているのか、スッと理解できるようになったという。それがAさんの勘違いでないことは、数字にも表れている。TOEIC®の公式スコアでおよそ400点アップの805点を獲得したのである。

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