清須会議に学ぶ三谷幸喜流の「会議論」 「会議とは相手を説得することだ」

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引き出しはひとつ「人間を描くこと」

――三谷さんは、舞台も映画もテレビもいろいろやられていますが、ご自身では何がいちばん面白いと感じていますか? たとえば「肩書きは何ですか?」という質問にはなんと答えますか?

肩書きは「喜劇作家」です。僕の基本で、そこに戻る気がしています。コメディとして考えるといちばんのベストは舞台です。やはりライブ。お客さんの笑いを感じながら、そこで俳優さんと一緒に作っていくもの。それがいちばんいいと思うのですが、でもライブは残らないんですよね。もちろん残らないよさもあります。映画のコメディというのは、100年後や200年後の人たちも笑わせることができるもの。僕だって、60~70年前のハリウッド映画を見て笑いますからね。それはすごいことだと思いますし、そんな映画を作りたい。

 ただ、基本的に僕はいろいろなことをやっていますが、引き出しはひとつしかないと思っています。映画もテレビも、小説は今後やるかどうかはわからないですが、技術的には多少の違いはあっても、僕の持っているものはひとつだけ。結局は人間を描くことだと思う。人間が追い詰められたときにすごい力を発揮するとか、思いもよらぬことをやってしまうとか。そして彼らの持っているけなげさや愚かさ、おかしさみたいなものを描くことしか僕はやっていない。だからいろいろなことをやっていますねと言われますが、僕としてはあまりいろいろなことをやっているイメージはない。これでレーサーもやって、畑仕事もやってとなると、マルチな感じになるんでしょうけどね。

(撮影:大澤 誠)

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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