外国人が飛びつく「日本モノ」は何が違うのか トーキョー・オタク・モード流の売り方

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一昔前まではこうした配信サービスがなかったため、海外には海賊版があふれていた。それが日本アニメのプロモーションにつながっていた側面もあるという。経済産業省では、10年程前から海賊版対策を強化しているが、すでにある程度マーケットが形成されていたため、海賊版が減るのと反比例するように、正規の配信元が増えているわけだ。

「正規配信されることで日本の制作会社にロイヤリティが入るし、作品を気に入ったファンは関連商品を購入してくれます。追い風が吹いている状態ですね」と小高氏は話す。

多様性は日本のアニメの特徴

中には、クランチロールなどのサービスを「黒船」と呼び警戒する向きがある。が、小高氏は「作品も知ってもらえないし、関連商品も売れない。外資も入れて盛り上げてもらったほうが、日本のアニメは世界に行ける。俯瞰して考えるべきです」と前向きにとらえている。

小高氏(撮影:田所千代美)

また、人気アニメ「機動戦士ガンダム」やライトノベルの「All You Need Is Kill」など、日本の作品がハリウッド映画の原作となるケースも。アメリカ企業はこぞって日本のコンテンツ産業に興味を示している状態と言えるだろう。

しかし、自国のコミックやアニメもある中、日本のポップカルチャーにこれだけ注目が集まるのはなぜなのだろうか。

「北米はこれと思った作品に百億円かけるような一点集中投資型です。一方、日本は分散投資・多品種生産型で、1年に250もの作品が登場します。そして、アクション、スポコン、萌え、日常系、ファンタジーと内容がバラエティに富んでいる。こうした多様性は日本の文化の特徴と言えるかもしれません」と小高氏は説明する。

「宗教においても八百万の神を大事にしていますよね。多様な作品群が、アメコミやハリウッドなどのマス文化になじめなかった人の受け皿となっているのだと思います」

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