猪木氏が、北朝鮮と太いパイプを持つワケ アントニオ猪木議員を直撃インタビュー(1)

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グローバルエリートの講評

今回、燃える闘魂・アントニオ猪木氏と燃える商魂・グローバルエリートの私が対談させていただくことになったのだが、猪木氏と対談していちばん思ったのは、「ほかの人が無理だと思うことをやることに闘魂を燃やす人」という印象である。これは後に続く対談で明らかになるが、当時、誰しもが無理だと思っていたモハメド・アリとの戦いを実現にこぎ着け、しかもそのアリ氏と親友になったということが、猪木氏の強力な原体験になっているように思われる。そしてモハメド・アリと闘った男ということで世界的な名声を手にし、国際的な独自の人脈構築につながった。

猪木氏はその師匠である力道山への思いから、北朝鮮とのパイプ作りにも積極的で、人脈的にも張成沢氏といった実力者中の実力者、最高権力者クラスと通じるほどの関係を構築している。

また今回、対談させていただいて感じたのだが、相手の“気迫や魂まで含めた部分の見極め”を重視しており、これは希代の天才カリスマプロレスラーとしての資質が大いに生かされている。

思えばモハメド・アリとの対戦や力道山との思い、相手との間の取り方など、今の猪木氏の強力な個性は、世界的な一流のプロレスラー(猪木氏はアメリカ最大のプロレス団体、WWEにも日本人として初めて殿堂入りしている)としての経験が基礎になっているのではないか。また猪木氏が盛んに語る「外交に一方的な勝利はない」という信念も、プロレスが相手の強さを引き立て、双方がウィンウィンの状況をつくることが最高の試合である、というその本質がよい意味で影響しているのであろう。

プロレスラー出身の国会議員でぱっとしない人が多い中、やはり一流のスーパースターとして国民を手のひらで転がした猪木氏は、その発想も行動力も規格外ということだろうか。

次回の続編では、このユニーク極まりないアントニオ猪木という国会議員を、どのように日本社会のために最大限活用できるのか、引き続き猪木氏との対談を続けたい。

(司会・構成:佐々木紀彦、撮影:今井康)

ムーギー・キム 『最強の働き方』『一流の育て方』著者

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Moogwi Kim

慶應義塾大学総合政策学部卒業。INSEADにてMBA取得。大学卒業後、外資系金融機関の投資銀行部門にて、日本企業の上場および資金調達に従事。その後、大手コンサルティングファームにて企業の戦略立案を担当し、多くの国際的なコンサルティングプロジェクトに参画。2005年より外資系資産運用会社にてバイサイドアナリストとして株式調査業務を担当した後、香港に移住してプライベート・エクイティ・ファンドへの投資業務に転身。英語・中国語・韓国語・日本語を操る。著書に『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』と『一流の育て方』(母親であるミセス・パンプキンとの共著)など。『最強の働き方』の感想は著者公式サイトまで。

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