剣が峰の関西経済、中国輸出が減速、頼みの綱は薄型テレビの大型投資だが…

剣が峰の関西経済、中国輸出が減速、頼みの綱は薄型テレビの大型投資だが…

甲子園球場32個分、127万平方メートルの広大な敷地に林立するクレーン。シャープが大阪府堺市に建設中の巨大コンビナートだ。世界最大級の大型液晶パネル工場と最先端の薄膜型太陽電池工場への投資額は4500億円。マザーガラスのコーニングジャパンやカラーフィルターの大日本印刷、凸版印刷など取引先17社も進出し、「コンビナート全体の投資額は1兆円近くに達する」(シャープの片山幹雄社長)。

液晶パネルにPDP--。パネル工場の大型投資が相次いでいることから大阪湾岸地域は「パネルベイ」とも称される。パネル以外にも巨大投資プロジェクトが相次ぎ、つい最近まで活況を見せていた関西経済。だが、米国金融危機に端を発した世界同時不況が関西景気にも暗い影を落とし、景気減速を示す指標が日ごとに増え始めている。

消費、生産、雇用の指標はすべて悪化に転じた

10月20日発表の日本銀行の地域経済報告(さくらレポート)は、近畿の景気情勢を7月の「減速している」から「停滞している」に引き下げた。消費、設備投資、生産、雇用・所得の4分野で下方の動きだ。

個人消費では、近畿の大型小売店販売額は2008年8月まで5カ月連続の前年割れ。百貨店は一部店舗を除き衣料品などほぼ総崩れ。日用品を扱い比較的堅調だった食品スーパーにも冷たい秋風が吹きつけ始めた。土日が各1日少なかったせいもあるが、9月に売り上げが微減し、06年1月以来の前年同月比減に転じたライフコーポレーション。10月の状況はさらに厳しさを増しているようだ。「1品1品お客様の手から商品が離れているようだ」と思わず店長も漏らす。和歌山県地盤のスーパー大手オークワは第2四半期に失速し始め、「客単価が伸びない。手に取る品数が減り、生活防衛の必死さが伝わってくる」(関係者)と語る。

鉱工業生産指数は08年の第1四半期マイナス0・5%、第2四半期も同1・5%と悪化が続く。08年通年でも7年ぶりの前年割れ転落の可能性が高まっている。

雇用では代表的指標の有効求人倍率が08年第1四半期に1倍を切って、第2四半期には0・92倍まで悪化している。8月単月は6月の0・88、7月の0・87から0・86となった。自動車工場の期間工・派遣社員の大量契約打ち切りなど話題沸騰の東海の陰に隠れた格好だが、実際は8月で1・33とそれでもまだ高水準の東海や同0・98の南関東の2地域に比べ関西の雇用情勢は弱い。

「良い」から「悪い」を引いた、近畿の企業業況判断指数(日銀企業短観)は3月調査時点のマイナス1、6月の同3、最新9月の同9とマイナス幅が拡大している。企業の景気に対する体感温度も、東海地区ほどではないが、関西の悪化は顕著だ。中小企業だけの近畿の業況判断は08年第3四半期で実にマイナス35・1。もともと関西は、中小企業の構成比率が3大都市圏の中でも高いため、無視できない動きである。
 
 帝国データバンクまとめの08年度上半期(4~9月)の近畿の倒産件数は前年同期比6・8%増の1571件、08年1~9月累計で同11・7%増の2430件に達した。10年間で最高だった07年の倒産件数を超えるペース。昨年までのいざなぎ越えの好景気も輸出型大企業主導で、04年を境に関西の倒産件数は年々増加、中小企業の経営実態はむしろ悪化し続けてきた。



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