もはや四面楚歌 「折口帝国落日」

もはや四面楚歌 「折口帝国落日」

虚偽申請や水増し請求など不正が次々に発覚。コムスンは厚生労働省から「退場」を宣告された。が、グッドウィル・グループが抱える問題はそれだけにとどまらない。(『週刊東洋経済』6月23日号より)

 100人を超す報道陣が詰めかけた6月8日の「涙の会見」から4日後、六本木ヒルズのグッドウィル・グループ(GWG)本社で単独取材に応じた折口雅博会長兼最高経営責任者(CEO)は、テレビカメラの前では決して見せることのなかった「本心」をあらわにした。

 「私の経営手法そのものが悪いとは思っていない。事業所の虚偽申請、介護報酬の不正請求というが、申請書類をチェックしていたのは現場であるし、不正請求といってもあくまで事務処理ミスの問題。誰にでもミスはあり、確かに過失はあるが故意や悪意はない。だから詐欺罪にあたることはない」

 当初は一言二言、ぽつりとつぶやくような受け答えが続いたが、自らの責任に質問が及ぶと一気にヒートアップ。「グループ経営に全力を尽くすことが社会的責任」とあらためて引責辞任を否定した。「介護を食い物にしたと言われても仕方ない」と神妙に語った姿とは別人だった。

 虚偽申請で退場勧告 脱法行為との批判も

 利用者6万5000人、従業員2万4000人を数える業界最大手コムスンに、厚生労働省が突き付けた「退場勧告」は、開始7年を経た介護保険制度を揺るがす不祥事だ。

 6月6日、厚生労働省老健局はコムスンの全国8カ所の訪問介護事業所において、指定取消処分相当の事実が確認されたとして、指定の許可・更新を行わないよう都道府県に通知した。確認された事実とは、事業所指定の申請時に他事業所の職員など、雇用実態のない職員を書類に記載した虚偽申請を指す。

 ところが各都道府県の監査でそうした事実が判明すると、コムスンは先回りして8事業所すべてで処分前に廃止届を提出した。樋口公一社長も廃止届の提出が処分逃れだと認めている。昨年4月の改正介護保険法では、一事業所でも不正が確認されれば、その法人すべてがその後5年間にわたり指定の許可・更新が受けられない「連座制」が導入され、罰則が強化された。

 この処分逃れが許されないと知るや、こんどはグループ傘下の日本シルバーサービスに全事業を避難させることで難を逃れようとした。が、こうした処分骨抜き行為は当局のみならず、世論も許さなかった。結局、事業譲渡は凍結。最終的には「総合的な客観情勢から許されなくなった」(折口会長)として、コムスンだけでなくすべての介護事業を外部に売却する事態に追い込まれた。

 片や、日本経団連は折口氏の理事退任と活動自粛処分を決めた。折口会長は今回の不祥事はあくまで現場レベルの軽微な「過失犯」とし、それに対して事業全体に「死刑判決」が下され、進退など自らの適格性まで問われることに不満をにじませる。

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