三陸鉄道、「あまロス」なしで全線開通へ 『あまちゃん』続編期待!復旧間近の三鉄の魅力に迫る

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ドラマで有名になったお座敷列車や、冬期に活躍するこたつ列車など、観光客だけでなく地元の人にもうれしい仕掛けを行ったのは、ジリ貧を打開するための三鉄の知恵の結晶だった。『鉄道むすめ』といった、鉄道やアニメなどのファンが喜びそうな試みも2005年からはじめている。

大好評の「こたつ列車」。秋田の「なまはげ」に似た、岩手の「なもみ」。なかなかの迫力

三陸リアスの美しい車窓だけでなく、三陸鉄道という鉄道会社自体をキャラクター化するという試みは、実を結んでいるように見えた。一部、鉄道ファンには三鉄は有名な存在だったのだ。

東日本大震災、5日後に運行を再開した根性

そんな時に起こったのが東日本大震災だ。全線で甚大な被害を受けた。再開が絶望的にすら思えた。実際、沿岸部の鉄道は、1年程度は運休を余儀なくされていた。だが、三陸鉄道は再開に向けて大震災直後から動き出した。

鉄道の保守部門は使える路線の状況確認を行い、社長を先頭に、営業部門は地元自治体への協力を要請。あまりに多額の費用がかかるため、復旧工事ができるのか疑問の声もあったが、結果的には再建に関係自治体もOKサインを出したのである。

そして、震災5日後には久慈、陸中野田の2区間のみではあるが運行を再開。試験運転時に、路線内に人が入っていては危ないと、汽笛を鳴らしながら運行したところ、沿線に人が出てきて車両に手を振ったことはニュースにもなった。

宮古駅前にいたタクシーの運転手に聞いてみると「自分は列車には乗らないけど、列車が動いたのはうれしかった。俺たちにはなくてはならない存在。これが走るだけで元気づけられましたよ」という。三陸鉄道の職員たちも、笑顔で手を振ってくれる住人たちの顔を見て、元気づけられたと話す。

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