エリートなのに自己評価の低い息子の扱い方

“親”という文字通り、木の上に立ち、我が子の選択を見守ろう

 グローバル化が進む中、親たちは、子供を世界で通用するエリートに育てるため、日々、努力を重ねている。しかし、若手マザーの中には、子育ての仕方がわか らず、周りの助言にも恵まれないケースも多い。そこで、一般的な家庭ながら、子供を国際弁護士、国際金融マン、海外著名大学教員、公認会計士に育て上げた 著者が、読者の皆様からの子育て相談に回答する。

 

今回は、読者のみなさんから寄せられた子育て相談に回答します。

【ミセス・パンプキンへの子育て相談】
 ミセス・パンプキンさんはじめまして。昨日、8月26日付けのコラムを読みました。【東京工業大学大学院 Kさんの寄稿文】の投稿はまさに我が家の長男の投稿かと感じるほど、身の引き締まる思いで読ませていただきました。夫が公務員ではなく、大手メーカーに勤めていることをのぞけば、ほとんど同じ状況です。夫はただいま単身赴任、今年の息子の就活では私は大変悩みました。
 私たち夫婦は地方の国立大学出身。地元を離れて東京に住んでいます。私は子どもが小さいときは専業主婦でしたが、末の息子の小学校低学年の頃から、パートを始め、現在は自宅で開業、学習塾を経営しています。
 長男は東工大大学院。長女は慶應大学在学、ロースクール受験の法曹志望。次男は早稲田大学在学中です。教育には熱心だとは思いますが、どちらかといえば放任で伸びやかに育ててまいりました。子どもたちも学力が高く、あまり苦もなく進学してまいりました。私は学歴よりもむしろ、社会人として自立してくれることを楽しみに育ててきて、それは、大手企業に就職することを無意識にも期待していたのだと思います。
 ところが、長男は「大手企業に興味はない。そもそも、自分のような能力では採用されるはずもない」と、会社説明会すら行こうとしません。いや本人は必死に活動しているというのですが、その訪問先がおよそ東工大と畑違いの出版社とか、零細・ブラック・ベンチャー。衝撃的でした。子どもの自主性は大切に育ててきたつもりでしたが、本人の迷走を前に、それまで、余裕を装ってきた化けの皮がはがれたように私自身が、悩み、荒れ、干渉しました。
 もともと親子関係も悪くなかったので、最終的には、長男は私を気遣う形で、一部上場中堅の会社に決まりました。本人は「働くところがあればどこでもいい」という価値観だったので、そういう意味では満足して内定をいただき、むしろ期待の大きかった私のほうが思いを残しつつ、今年ゴールデンウィーク明けに就活を終えたところです。
 私が非常に不本意だったのは、息子が非常に高い自意識と能力を持ちながら、それと相関するほどに自信のなさやコンプレックスを抱えていたことです。彼は就活の面接でアピールできることなど何もないと言いきります。
 23を過ぎた息子に、母がいくら彼の能力を説いたところで、彼の心には届くはずもなく、そのことが非常に私を苦しめました。非常に強い個性を生んでしまったのは、自分の養育暦のまずさにあったのかと、自分を責め、夫を責め、悩みました。息子の話に耳を傾け、息子を理解することに努め、いっときは納得するのですが、一晩明けると、やはりやりきれなくなり不安定になることの繰り返しでした。
 あれから三ヶ月。内定をいただいてからは、つかず離れずそれまでどおり穏やかな関係です。でも、今でも彼が会社に馴染めるかはわかりません。本人もあまり自信はないようです。「とりあえず石の上にも三年。三年間のうちに貯金して、転職にそなえるよ」と言っています。今後は彼の意思を大切にしたいとは思っています。でも初めての就活のときは、たとえ本人の意には沿わなくとも、親として言うべきことは言って良かったとは思っています。
 とはいえ、いまも本当にそれで良かったのかはわかりません。何かご意見を頂戴できるとたいへんありがたいです。
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