鴻海は本当に儲かっているのか 注目の海外企業【第4回】

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さて、鴻海では、顧客に一括サービスを提供することをうたっている。すなわち、設計、金型、工具、部品、モジュールの製造や仕入れ、組み立て、メンテナンス、そして配送など、電子機器ができ上がり納入されるまでのあらゆるサービスを提供する。そうなると、製造業というよりもサービス業に近く、鴻海自身も自社をservice companyと定義している。顧客の大量の注文に迅速かつ柔軟に対応し、品質を維持しつつ、多様なエンジニアリングサービスを提供することは、製造機能を有した商社と言った方が妥当かもしれない。

売り上げ先は大口顧客に集中

発注側の電子機器の最終製品メーカーにとっても、受注側の受託生産メーカーにとっても、個別の取引先ごとの取引金額は開示されないのが通例である。鴻海の財務諸表においても、相手先名を付けた取引金額は開示されておらず、アップルにおいても同様である。

ただ、鴻海の財務諸表を見ると、総売り上げの10%以上を占める顧客先がこの10年間にわたり、常に2社あるいは3社存在してきたこと、こうした大口顧客への売上の合計が、多い年には総売上の60%以上を占めるほどであったことが分かる。

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アップルのiPhoneはほとんどが鴻海の工場で組み立てられている

そして、2012年には鴻海の最大顧客先への売り上げは総売り上げの48%にのぼっており、この顧客への売り上げは最近3年間に急増している。会社名は開示されていないが、日本円にして5.5兆円に相当する製品を鴻海から仕入れている企業は想像がつくはずだ。

ちなみに、アップルが最終組立工場として発表している17か所のうち7か所がHon Haiの工場である。製品別ではiPhoneとiPadは、そのほとんどがこれら鴻海の工場で作られていることが開示されている。 

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