鴻海は本当に儲かっているのか 注目の海外企業【第4回】

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同社株式は台湾証券取引所に上場されており、財務諸表が開示されている。それによると、2003年から2012年までの10年間に鴻海の売り上げは約10倍に急成長を遂げた。平均して年率30%という高い成長だ。世界での注目度が高まるとともに、財務諸表を含む年次報告書も最新版から英文で提供されるようになった。同社にとっても、世界への直接の情報発信が必要になっているのだろう。

デジタル化とモジュール化で発達したEMS

鴻海は、生産設備を有しない電子機器メーカーから、生産工程を請け負い、電子機器を発注元のブランドで製造する会社である。こうした事業はElectronics Manufacturing Service(電子機器受託生産サービス)の頭文字をとってEMSと呼ばれることが多い。

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シャープへの出資問題で新幹線のホームで記者に囲まれた郭台銘CEO(2012年8月29日)(撮影:梅谷秀司)

EMSは1990年代から発達したが、その背景には、電子機器の設計製造プロセスにおけるデジタル化とモジュール化がある。製品を機能ごとに分解し、個別の機能を組み合わせることが可能になり、構成要素であるモジュールやモジュール同士の接合や通信などの方式が規格化・標準化され、それを組み合わせることによって最終製品が作られていく。

デジタル化とモジュール化は電子機器の製造業を組立産業に変えてしまったと言えるだろう。それとともに外部企業が受託して大量に組立てるサービスが生み出された。すなわち、EMSは電子機器の設計製造方式の変革が生んだビジネスということになる。

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