スタートトゥデイが放つ「WEAR」の衝撃 ファッションもショールーミング化する?

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前澤社長は「(商業施設に)WEARを導入していただくのを最優先に、システムや金銭的な面で柔軟に話し合う準備がある」と、パルコに限らず商業施設ごとに条件交渉を行う姿勢を示した。

WEARには物議をかもしている「バーコードスキャン機能」のほかにも、いくつかの斬新な機能がある。衣料カテゴリーやシチュエーションなどからコーディネート写真を検索できる「コーディネートレシピ機能」、自分の手持ちの服をデータベース化して管理したり、日々の自分の着こなしを写真で記録したりする「マイクローゼット機能」などだ。「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)機能」で友人やショップ店員などのコーディネートやコメントを見ることもできる。

このようなWEARの機能が実現したのは、ゾゾタウンで10年近く積み重ねたノウハウがあるからだ。スタートトゥデイはWEARアプリのダウンロード数でゾゾタウンの会員数に匹敵する500万を目指している。

ビジネスモデルが不透明との指摘も

10月31日の決算説明会で前澤社長は、言葉を選びながら慎重に説明していた

とはいえ、ビジネスモデルには不透明な面がある。決算説明会の場でも、WEARが何で利益を稼ぐのかについての質問が相次いだ。

前澤社長は「今は利用者層と店舗の拡大に力を入れる。今期中はマネタイズ(収益化)するつもりはない。(収益化方法としては)各ブランドのウェブサイトへの送客手数料や、優れたコーディネートレシピへの課金など、いろいろなことが考えられる」と説明するにとどめた。

まだまだ荒削りな点が目立つ。大きなポテンシャルがあるものの、解決すべき課題も多いサービスといえるだろう。

秦 卓弥 東洋経済 記者

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はた たくや / Takuya Hata

流通、石油、総合商社などの産業担当記者を経て、2016年から『週刊東洋経済』編集部。「ザ・商社 次の一手」、「中国VS.日本 50番勝負」などの大型特集を手掛ける。19年から『会社四季報 プロ500』副編集長。21年4月から再び『週刊東洋経済』編集部。アジア、マーケット、エネルギーに関心。

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長谷川 愛 東洋経済 記者
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