ジョブズは"不完全な"人間だった 映画「スティーブ・ジョブズ」監督が語るジョブズ論

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――本作のオープニングは、アップルコンピュータの社内ミーティングで、初めてiPodを披露する場面から始まります。多くの人を魅了してきたジョブズのプレゼンを非常にうまく再現しているなと思いました。

あのシーンはアップル内部で行われたミーティングを基に作られているが、あそこでiPodを見せることこそが、ジョブズがやってきたことの集大成だったのだと思う。だから、僕も脚本家もアシュトンも、みんながあそこをきちんと見せることが大事だと思っていた。なので、アシュトンも仕草や歩き方などをジョブズに似せるようにした。

アップルの「ガレージ時代」から取材

――この映画を作る際に、いろいろな人にリサーチをしたと聞きましたが、どのような人にリサーチを行ったのですか?

主に一緒にガレージにいた初期のアップルコンピュータの人たち。ジョブズと一緒にインドに行ったダニエル・コトキとか、スティーブ・ウォズニアック以外は全員にインタビューをすることができた。ほかにも、できるだけいろいろな人に会いに行ったね。

――この映画を作っていて、まるで自分にジョブズが乗り移ったのではないか、という感覚はありましたか? たとえばスタッフにハードワークを課してしまったとか。

それはいつもだよ(笑)。僕は毎日、スタッフに無理難題を押し付けていて、まるで独裁者のようだった。ただ、僕という人間は、人の気持ちを推し量る協調性を持っているが、ジョブズはそうじゃなかった。つねに前を見て、世界を変えることができるのは何か、それを考えていた人だったからね。

(C)2013 The Jobs Film,LLC.

(撮影:ヒダキトモコ)

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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