いきなり研修部屋へ ミクシィ不可解人事 約30人がサポート部門へ異動したのはなぜか

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これは「追い出し部屋」?

それまで取り組んでいた業務を強制的に中断させられ、いきなりカスタマーサポートのトレーニングを強いられる──。これは、退職勧奨のための、いわゆる「追い出し部屋」ではないのか。

この疑問に対し、会社側は次のように説明する。「今回のカスタマーサポートへの人事異動は人員削減を目標としたものではない。弊社では経営戦略に基づき、適宜、適材適所の人事異動・組織変更を実施しており、11月1日付の人事異動も同様のものだ」(広報部)。

理屈としては、そういうことで押し通すのだろう。とはいえ、社内の人心はざわめいており、人の口に戸は立てられない。複数の社員によると「荻野泰弘CFO、07年にドリコムでリストラの実行部隊として事業再建に取り組んだ実績を持つ法務部長などが主導した、実質的な人員削減策だ」という。約30人の異動は序の口であり、今回のような人事異動の第2弾が実施される可能性について示唆する者もいる。

キャッシュは豊富にあるにもかかわらず、グリーが行ったように特別退職金付きの希望退職募集を避けて、苛酷な人事異動を実施したのはなぜだろうか。ある社員は「辞めてほしくない有能な社員を温存し、実質的な指名解雇を行いたいからだ」と解説する。

経営手腕を期待されて外部から招かれた現経営陣は、短期間でミクシィの収益改善を図ろうと、必死の思いのようだ。しかし、だからといって何でもやっていいわけではない。新興企業らしからぬ今回のやり口は、極めて違和感のある経営判断といわざるをえない。

(週刊東洋経済2013年11月9日号)

甘木 慎
山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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