日本の若者はアジア市場で勝てるのか?

岡崎仁美「リクナビ」編集長×森山たつを対談(2)

2012年、大手就職情報サイト「リクナビ」編集長・岡崎仁美氏がトレンド予測した「セカ 就」(=世界を舞台にした就職活動)は、2013年にかけて、朝日新聞や毎日新聞などが特集を組みNHKでも放映されるなど、“国境を超えた就職”の可能 性が、今、注目を集めています。
海外留学生の減少など、学生の“内向き志向”が取りざたされる中、海外での就職・転職活動はまだまだ「帰国子女やバイリンガルのエリートだけのものでは?」というとらえ方が根強くあるのも事実。
そこで今回、「リクナビ」編集長兼就職みらい研究所所長の岡崎仁美氏と、先日『セカ就! 世界で就職するという選択肢』(朝日出版社刊)を出版し、東南アジアを中心に就転職を行う日本人をフィールドワークする「海外就職研究家」森山たつを氏の対談をお届けします。
海外で働くことを目指す、あるいは実際に働く若者を「現場」で見てきた2人のメッセージは、「今の働き方に未来はあるのか」と日々悩む多くのビジネスマンにも、大きな示唆を与えるものと思います。

対談(1)ー「海外就活」が当たり前の時代がやってきた!はこちら

現地に行って英語習得のモチベーションを上げる

——海外で就職となると、やはり日本人が苦手とする語学力、特に英語の問題が出てくると思うのですが、今の学生は英語習得についてどんな意識を持っているのでしょうか?

森山:英語力の平均は私たちの頃よりも圧倒的に上がっていると感じます。私は1999年に外資系企業に入ったのですが、英語がほとんどできなくても大丈夫でした。たしかTOEICは400点くらい。同期を見渡してもそれほど英語力は高くなかったし、在学中に英語を勉強している人もあまりいなかったように思います。

でも、今は学生の頃から英語を習得している人がたくさんいます。私は現在、フィリピンのセブに住んでいるのですが、現地の英語学校に顔を出すと、特に8〜9月の夏休みの期間は日本人の大学生が大勢います。

フィリピンでの語学留学は、宿泊費込みで1カ月十数万円という低価格で注目されていますが、学生にとって必ずしも安くはない金額です。それなのに、自主的に英語を勉強しに来る学生がこんなにたくさんいるのか、と感心しましたね。海外インターンに応募する学生も、英語力はそれなりに高い人が多いのですか?

岡崎:いえ、バラバラですね。そもそも帰国子女のように語学が堪能な学生は、海外インターンシップにはあまり応募してきません。応募してくるのは、「英語を現地で勉強し、試してみたい」という人と、「勉強するきっかけがないので、一度現場でもまれて英語習得の必然性を認識したい」という人。両方いらっしゃいます。

森山:語学習得のモチベーションを得るために、海外に出る学生もいるということですね。私はそれば本末転倒だとは思いません。現地に行って初めて、求められるものがわかるということもあると思うのです。東南アジアでは、英語文法としては当たり前の過去形とかを使わない人も多い。

正直なところ、細かい文法や言い回しは後で学べばいいのです。でも、単語を知らないと何も言えなくなるので、最低限の語彙力は必要。そういったことが現地にいるとわかってきます。インターンであれば仕事で失敗するリスクよりは、現地の文化や暮らしを体感できるというメリットのほうが大きい。だから「まずは若いときに行ってみる」という選択も、私はアリだと思っています。

岡崎:実際、アジアのビジネスの現場で、インターンを通じて英語を習得しただけの若者たちが、戦っていけていますか?

森山:アジアを中心に仕事をするのであれば、それで結構なんとかなる部分もあります。実際、私が体験したり多くの方から聞いたりしてみても、アジアで日本企業に就職するのであれば、それほど高い英語力は求められないようです。日本企業に入って、アジア支社のスタッフとチームを組んで仕事をするのも、最低限の意思疎通ができるレベルの英語力と、業務知識や専門用語の語彙があればなんとかなります。

もちろん、欧米、特にアメリカやイギリスで仕事をするなら、きちんとした英語を話せないと仕事になりませんし、相手にさえしてもらえないのですが、東南アジアだと現地の人々も英語はネイティブではないことが多いですし、英語がしゃべれない人もたくさんいますから、お互いにコミュニケーションは取れるのです。初めから英語ができるに越したことはないのですが、それなりにできれば採用、といったケースがあるのです。

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