最高益更新のJT、それでも大リストラ 国内たばこ4工場を閉鎖、人員は2割弱を削減

拡大
縮小

現在、JTの国内市場シェアは6割と高いが、それを維持しても市場が縮小していくだけに、何もしなければじり貧になることは明らか。もっとも、これまで手をこまぬいていたわけではなく、99年には「ウィンストン」で有名なRJRインターナショナル、07年に「LD」で知られるギャラハーなど、海外のたばこ事業者を買収してきた。現在、全体の売り上げに占める海外たばこの構成比率は5割弱に高まっており、グローバル企業への転身を進めている。

国内市場は縮小、海外もバラ色ではない 

主戦場を海外に移したからといって、JTの未来が明るいわけではない。13年1月~9月の海外たばこ販売数量は、ロシアや欧州での需要低下などが響いて減少した。単価上昇の効果で売上金額は拡大したものの、伸びしろがどこまであるのかは不透明だ。 

世界各地でたばこへの増税、規制の輪も広まっている。12年12月には豪州で、たばこの箱でのデザインやロゴの使用が禁止されるなど、日本を出てもたばこ業界を取り巻く環境は厳しい。 

たばこ事業の”一本足打法”は今後も続くのか

JTのたばこ以外の売り上げ構成比率は2割。13年3月期でも、飲料は黒字だが医薬の赤字が大きく、全体の利益貢献には至っていない。87年に医薬事業に参入し、鳥居薬品の買収なども行ったが、「医薬は成長に時間がかかる」(宮崎副社長)と、明確な黒字化のメドは立っていない。

たばこ販売では当面、新興国の需要の伸びが期待できる。しかし、長期的に見れば、たばこ事業に次ぐ事業の柱を育成する必要があるだろう。今回は、思い切った体質強化に踏み込んだが、たばこ以外の事業展開も今後のポイントになる。

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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