保険業界採用動向、サブプライム潮目に採用手堅くとも選別は強化

保険業界採用動向、サブプライム潮目に採用手堅くとも選別は強化

八木政司 採用プロドットコム シニアディレクター

 ここ数年、好景気を背景に、年内の早い時期から売り手優位の就職戦線が続いてきた。だが、過去最高の大卒求人倍率(2・14倍、リクルート ワークス研究所)を記録した2009年をピークに、2010年度の就職戦線は様相が変わってきそうな気配が漂っている。

まず以前から企業の採用選考活動の早期化是正を求めていた大学側が、国立大学協会が中心となり、公立大学協会および日本私立大学団体連合会とともに、日本経済団体連合会に対し、具体的な要請書を7月9日という早い時期に発出したことがある。

図1からもわかるとおり、早期採用活動を抑止するためのカードであった倫理憲章が「昨年はほとんど効力を発揮しなかった」ことは、解禁後の4月前半に文理ともに選考が一気に進んでいることからも明らかだ。書類選考を含め、事前の選考準備なしにこのようなスタートダッシュができるはずもなく、実質的な選考は3月以前に水面下で着々と行われていた。

今年はその反省を踏まえた大学側が、早めの牽制球を経済団体に投げ込んできたというわけだ。

しかし今年は、この牽制球にかかわりなく、採用活動がスローダウンする可能性がある。つまり10年度は採用意欲そのものが、年内に急速に減退する理由があるからだ。

売り手市場から潮目が変わる最大の理由は、言わずと知れたサブプライム問題に端を発した米国発の世界的金融不安である。ドル不安は原油高と複雑に絡み合って庶民生活を直撃するインフレとなり、世界中の景気や物価に暗い影を落としている。そのためグローバル企業が、意欲的に採用に取り組もうというマインドが働きにくい状況である。特に米国の景気減退が日本経済に与える影響は計り知れない。9月の中間決算の内容次第では、採用活動に急ブレーキがかかる可能性も否定できない。

ではかつてのような就職氷河期が再来するのかというと、これも少しニュアンスが違ってくる。その理由は、設備・人員・負債などを整理しスリム化した企業は、バブル期の後処理に追われていたころとは比較にならないほど強固な企業体質に変貌しているからだ。つまり、成長のために必要な人材については、引き続き企業の採用意欲は高いのだ。

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