アップルは「性欲に訴えるブランド企業」だ GAFAは「本能を刺激する」から強すぎる

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それはもちろん、グーグルがなくても可能なことだ。しかし同じものを見つけるためにはおそらく何週間もの時間をかけて、かび臭い図書館をいくつも回らなければならないだろう。グーグルを使えば、それが1秒もかからずにできる。

グーグルは、次から次へと質問されるのを待っている。疲れることもなく、時差ぼけになることもない。さらに私たちがさがしているものを見つけるだけではなく、それと関連する、私たちが興味を持ちそうなことを、何千、何万も見つけてくる。

最後に、そして結局のところ何より重要なのは、私たちがグーグル検索の結果を信頼しているということだ。場合によっては途切れがちになる自分自身の記憶よりも信頼している。グーグルのアルゴリズムの仕組みはわからない。しかし自分のキャリアや人生さえ賭けるくらいに信頼しているのだ。

グーグルがどれほど大きくなり、どれほどの力を手にしているかが気にならないのは、私たちのグーグル経験がささやかで親密で個人的なものだからだ。たしかに小銭が積もり積もって何百億ドルもの収益となり、株主価値は何千億ドルにもなった。それでも私たちが怒りを感じることはない――質問に答えてくれて、私たちの脳が前より賢くなったと思わせてくれているうちは。

それこそが勝者であり、株主は脳による勝者総取りの経済から生じた利益を得る。グーグルは消費者に最高の回答を、これまでのどの組織よりもすばやく安く与えてくれる。脳はグーグルを愛さずにいられない。

アマゾンは「狩猟採集本能」、フェイスブックは「心」

グーグルが脳の代わりだとすれば、アマゾンは脳と、ものをつかむ指――より多くのものを手に入れようとする狩猟・採集者としての本能─―とをつなぐものだ。

人類の歴史の始まりから、よりよい道具を持つということは、より長生きできることを意味した。大昔から私たちは、より多くのものを持つほどより大きな安心と成功を手にしていると感じる。敵に襲われる危険が少なく、友人や隣人より優れていると感じる。そしてほとんどの人はそれで満足できる。

世間ではスターバックスの成功は「依存症の人間にカフェインを提供しただけ」と片付けられる。しかし依存症において買い物がヘロイン級とすれば、カフェインはニコレット程度である。

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