トヨタだけに兄弟車が脈々と残っている事情 今日においてもなお意味のある存在だ

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左からヴォクシー、ノア、エスクァイア(写真:トヨタグローバルニュースルーム)

販売店系列それぞれに特徴がある

トヨタには、複数の販売店系列がある。トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店があり、全店舗で売られる車種(アクア、プリウス、86など)もありつつ、店舗ごとに取り扱い車種に独自性を持つ。かつてはほかに、トヨタオート店、ビスタ店があり、この二つは統合されて今日のネッツ店となっている。

トヨタ店は、センチュリーやクラウンなど上級車種を中心に品揃えし、また商用車を利用する法人の顧客も抱える。トヨペット店は、マークXやプレミオなど上級車種を中心に、ミニバンも販売する。ただし都内ではクラウンなども扱う。カローラ店はその名の通り、カローラを主力にミニバンやSUVを扱う。ネッツ店は、コンパクトカーやワンボックスカー、またスポーティな車種を扱ってきた。

そうした各店舗の特徴を活かしつつ、時代とともに人気車種が遷り変っていくのに合わせ、どの店舗でも扱う車種が現れてくる。そのなかに兄弟車のかたちで、別の販売店系列でありながら同じクルマを売ることが継続されている。

日産は、プリンス自動車との合併を機に、プリンス店やスカイライン店などがあり、スカイラインやグロリア、パルサーなどを販売してきた。また、小型車ではサニー店やチェリー店などもあって、ブルーバードやセドリックを扱う日産店や、ローレルなどを扱うモーター店を含めると最大6つの販売店系列があった。

その後、プリンス店、サニー店、チェリー店が統一されレッドステージと名乗り、日産店とモーター店が統合されてブルーステージとなり、2系統に集約された。販売店系列は集約されつつ2つ残されたが、すべての販売店ですべての日産車が販売されるようになった。そして現在では、日産店の1系列になっている。

ホンダも一時期、プリモ店、ベルノ店、クリオ店などに分け、販売車種を変えていたが、現在はホンダカーズに統一し、すべての車種を販売するようになった。

マツダも、バブル期にはマツダ店のほか、アンフィニ店、ユーノス店、オートザム店、オートラマ店と5つもの販売店系列を持っていた。しかしバブル崩壊後、アンフィニとオートザムの店舗名は残るものの、今日ではすべての店ですべての車種を販売する。

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