《NEWS@もっと!関西》消えゆく遊園地、府民に愛されたエキスポランドが民事再生法申請

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《NEWS@もっと!関西》消えゆく遊園地、府民に愛されたエキスポランドが民事再生法申請

地域住民に親しまれてきた関西の遊園地がまた一つ、その姿を消す。

休園中の遊園地「エキスポランド」(大阪府吹田市)を運営するエキスポランド社は29日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請し保全命令を受けた、と発表した。負債総額は16億円。

引き金となったのが、記憶に新しい昨年5月のジェットコースター事故だ。車両が脱線し、当時19歳の若い女性が手すりに頭部をぶつけて死亡する惨事だった。背景には、車軸の検査を怠るなどエキスポランド社の杜撰な安全管理体制があった(元取締役ら3人が業務上過失致死傷容疑などで、法人としての同社が建築基準法違反容疑で起訴。現在公判中)。

「非常に残念です」。事実上の倒産を聞いた(エキスポランドに隣接する)万博公園総合案内所の係員は、目に涙を溜めてこう語った。1970年に日本万国博覧会の施設として開業し、72年に再オープンしたエキスポランドは、これまで8300万人もの顧客が押し寄せた人気のスポットだった。府内の小学校が遠足の定番コースにするなど、老若男女に愛された。

昨年5月の事故の後、8月に営業を再開したが9月に再び遊具のトラブルが発生したこともあり、「お客さんがピタッとこなくなった」(案内所の係員)。入園者数は前年の2割に激減し、結局同年12月に再び休園に追い込まれた。

悲惨な事故を招いた経営体制への非難は免れない。ただ、エキスポランドの再開を待ち望んでいた府民は少なくない。「再開すればエエのに、と思っていた。手ごろな料金で子供が遊べる遊園地が周囲にはないので」と30代の主婦は話す。同社は今後について、「ファミリータイプの遊園地として再生を図りたい」としているが、スポンサーの目処は立っていないという。 

ファミリー層が楽しんできた関西の遊園地は、2001年に開業した大型テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(大阪市此花区)に顧客を奪われ、「宝塚ファミリーランド」(兵庫県宝塚市)や「甲子園阪神パーク」(兵庫県西宮市)、「神戸ポートピアランド」(兵庫県神戸市)などが次々と閉園した。「残ってるのは、ひらかたパーク(大阪府枚方市)ぐらいやなぁ」と、別の30代女性も寂しげな表情を浮かべる。

関西は、関東・中部地区よりも少子高齢化が進行している。相次ぐ遊園地の閉園は、地域の活気が失われていくことを物語っているかのようだ。
(梅咲 恵司= 東洋経済オンライン)

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