渡邉美樹 ワタミ社長

渡邉美樹 ワタミ社長

ワタミは全国約450社が加盟する「民間事業者の質を高める全国介護事業者協議会」(民介協)と連携。グッドウィル ・グループの全介護事業を引き受ける意向があると表明した。(『週刊東洋経済』6月30日号より)

 ニチイへの一括譲渡では 介護の将来に禍根を残す

1:当初は単独で有料老人ホームのみを引き受ける提案だった。どうして民介協との連携になったのでしょうか。  

 コムスンの介護事業が争奪戦の様相を呈し始めたからだ。商社や流通など他業種がビジネスチャンスとして名乗りを上げたことで、大きな危惧を抱いた。また、ニチイ学館へ一括譲渡されてガリバーが生まれるのは、利用者のことを考えれば疑問。日本の介護の将来に大きな禍根を残す。損得勘定で今回の提案を行ったわけではない。  

 民介協と連携すれば、地域の実情に合わせたきめ細かな対応ができる。従前から訪問介護は地域密着で顔の見えるサービスをするべきだと主張してきた。民介協に加盟する事業者ならばそれができるので、二人三脚で受け皿になるのがベストだと考えた。老人ホームはワタミと大手数社で、訪問介護などそれ以外は民介協の適切な事業者が引き受ける。各社とも従業員、利用者すべて引き受けるのが大前提だと思っている。

2:価格競争には入らないとの見解ですが、仮に入札方式となったら参加しますか。

 入札には参加するが、今回のケースでのれん代が発生するというのはおかしいと思っている。あくまで(グッドウィル・グループ傘下の介護6社の)総資産の金額などから考えるのが妥当だ。(一部で報道された)1000億円という数字が提示されるならば、いっさい取引に応じるつもりはない。

3:業員や利用者の面からすると、ニチイ学館が一括で引き受けたほうが混乱が起きないのではないでしょうか。

 確かに一時的な混乱が起きる可能性はゼロではないだろう。今回のスキームは事業者の選定に時間がかかる可能性もある。ただ、最終的には地域密着の事業者が引き受け、顔の見える訪問介護を行ったほうがトータルでプラスと見るならばメリットは大きい。その判断は先方にゆだねたい。従業員にとってみると一括のほうが安心できるのはよく理解できる。だが、利用者にとっていいかは疑問だ。

4:山間部や離島など、コムスンが行っていた24時間対応などで漏れは生じませんか。  

 そこを民介協450社との連携によって対応するのが今回の提案だ。北海道から九州まで地元に根差した事業者が責任を持って引き受ける。1社だけで引き受ければ、不採算地域は儲からないからやめようとなってしまう。

5:ニチイ学館と組めなかったので、民介協と組んだのではありませんか。

 それは最初から念頭にない。ニチイへ接触しようとしたのは、日本の介護の将来がどうあるべきかを考えましょうと言いたかっただけだ。

(書き手:風間直樹)

わたなべ・みき
1959年生まれ。82年明治大学卒業後、84年に「つぼ八」のFC店オーナーとして起業。92年に「和民」を開発。2000年に東証1部に上場。外食に加えて介護や農業など事業の多角化を推し進める。

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