日本人が積極的に「サバ缶」を食べだしたワケ みそ汁からパスタ、炊き込みご飯まで

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現代において、魚離れが進むのは仕方がない側面もある。魚は肉に比べて、100グラムあたりの価格が高いことが多い。特に比較的安い青魚は丸ごと売られていることも多いので、下処理が必要になる。しかも、取ったワタはすぐに傷んで臭くなりがちで、冷凍しておき、ゴミの日に捨てるなどの手間がかかる。

また、冷凍するなど保存がしやすい肉と違い、生の魚はすぐに食べないと傷むため、買うタイミングを選ぶのが難しい。週末にまとめ買いする共働き世帯の場合、平日に魚を料理するのは難しくなる。

また、塊肉からミンチまで、売っているサイズや部位にバリエーションがあり、炒めものや煮ものなどさまざまな料理に使える肉と異なり、使い勝手も悪い。身をほぐすのは料理のバリエーションは広がるが、一度焼いてから骨を外し、身をほぐすなど手間がかかる。

使い勝手のよさが認知された

そういった魚が持つハンデを克服できるのが、魚缶である。下処理は基本的に必要なく、長期保存が可能だ。すでに火が通っているので、身をほぐすのもたやすい。ツナなどあらかじめほぐした身が入っている缶詰もある。アイデアレシピが広まったことで、魚缶ならではの使い勝手のよさが知られるようになり、ヒットにつながったのではないかと思われる。

さらに4つ目の理由がある。それは健康志向だ。サバなどの青魚は、血液をサラサラにするといった健康効果が宣伝される、必須脂肪酸のDHAやEPAを豊富に含む。魚不足を気にしている人には、魚を取る手段としても手軽だ。マルハニチロの高級商品が売れているのは、割安であることよりもヘルシー志向に応える商品であることが評価されているからかもしれない。ヘルシー志向が強い人は価格より質の高さを評価しやすいからだ。

サバ缶人気の余波なのか、やはりDHAやEPAを豊富に含む青魚のイワシ缶もよく売れている。イワシは安い魚だが、サバと並んでアシが早い。そしてワタ取りからしなければならないことが多い。

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