ブランド創りの新潮流は、便利なアプリ

NIKE、インテル、レノボなど続々

 日本の製品は、高い品質を誇りながら、中国マーケットにうまく食い込めていない。その最大の理由は、ブランド戦略の甘さにある。この連載では、北京電通に7年駐在経験があり、グローバル企業のブランド戦略のコンサルティングを手掛ける著者が、中国人の心を掴むためのブランド創りを解説。教科書的なブランド論ではなく、ビジネスの現場で起きている事実をベースに、実践的なブランド戦略を発信する。

レノボが受賞した「SABRE Awards」とは

中国の広告専門ニュースサイト「広告門」に、レノボの「LeFun Run」キャンペーンが世界のPRキャンペーンのコンペティション「SABRE Awards」でトップ50に選ばれたという記事が出ていました。

これは何かというと、スマホにレノボのアプリをダウンロードしてランニングをすると、GPS機能を使って、走ったコース、距離、時間、平均速度などのデータがモニターでき、そのデータを「微博」や「微信」などのSNSでシェアできるというものです。また、レノボが協賛するマラソン大会で利用すると、各チェックポイント付近で応援者からのコメントが閲覧できるようになっています。

世界的な賞で認められたのはご同慶の至りですが、このレノボのアプリからナイキの「Nike+」を連想してしまうのは私だけではないでしょう。

変貌するナイキのビジネスモデルとブランド価値

1990年、私が広告会社の営業としてナイキジャパンを担当していた当時、ナイキは、スポーツシューズやアパレルなどの「製品」を作って売る会社でした。1980年代はNBAのスーパースターのシグニチャー・ブランド「エア・ジョーダン」で世界中の若者を熱狂させ、Air Maxでランニングシューズ市場を席巻し、90年代はタイガー・ウッズとスポンサー契約を結んで、それまでオヤジ志向だったゴルフシューズやウェアをアスレチック・ギアへと革新しました。

しかし、現在のナイキはモノを売っているというよりは、効果的なトレーニングをしたいユーザーにソリューションを提供することを目指しているように見えます。その象徴が「Nike+」です。利用している方も多いと思いますが、これはランナーが履くシューズのインソール下部に装着されたセンサーが送信するランニング状況のデータをiPhoneやiPodで受信して分析する「ランニングのサポートシステム」であり、同時に「Nike+ Running Community」で同好の士とつながってデータをシェアする仕組みです。

さらに進化したのが、日本でも間もなく発売される「Nike+ FuelBand」です。手首に装着したバンドが体の動きを認識してデータ化するので、ランニング以外のトレーニングや日常生活での活動量まですべて測定してしまう仕組みです。「Nike+」は言わば万歩計の現代版ですが、「FuelBand」の発想は自動巻きの腕時計を思い起こさせます。

さらに革新的なのは、FuelBandが認識する活動量は「NikeFuel」というナイキ独自の単位で表示されるということです。歩数や速度やカロリーといった既存の測定単位を超越しているところに、このシステムがただ者ではない「ゲーム・チェンジャー」である匂いがします。私の中国人の友人の一人はすっかりこのデバイスにはまっていて、毎日のデータを表示したアプリの画面を「微信」にアップしては悦に入っています。

このような革新的なサービスが普及するにつれ、ユーザー側のナイキイメージも「シューズの有名ブランド」から「スポーツする人をシステムで支援するパートナー」へと変わってきています。

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