笑い止まらぬKDDI好決算の先行き あまりの上機嫌にサプライズ発言まで飛び出した!

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気になるのは、9月の新型iPhone発売以降の販売動向だ。NTTドコモが新たにiPhoneの取り扱いを始めたことで、一時はKDDIへの悪影響も危惧されたが、「幸いにも足元の販売動向に大きな変化はない。予想以上に好調に推移している」と、田中社長は笑顔を見せた。

年末商戦はスマホとタブレットの抱き合わせで攻勢をかける(撮影:尾形文繁)

MNP(番号ポータビリティ)によるユーザー獲得も順調に推移している。9月はキャッシュバック付きで旧機種のiPhone 5を売りさばいたこともあり、今年度最多の11万件超の純増を記録した。

田中社長は「9月はできすぎだった」と認める一方、10月以降もドコモからのユーザー流入が続いていることも明らかにした。

iPhoneに関しては、人気の「5s」は世界的にも在庫が品薄状態で、KDDIもまだ十分に供給できていない状況だという。また、「5」の在庫が底をついてきたこともあり、十分な在庫がある「5c」が売れ始めているようだ。田中社長も「最初は廉価版と伝わってしまったが、カラーバリエーションがいい、と思われてきたのではないか」と分析した。

年末商戦はiPadを売り込む

好決算に気をよくしたのか、会見後にはサプライズ発言まで飛び出した。11月1日に発売される新型iPadの感想を聞かれた田中社長が、旧機種のWi-Fiモデルで下取りキャンペーンを始めることを思わず漏らしてしまったのだ。

KDDIは9月のiPhone5s、5c発売を前に、タブレット端末とスマホで月間のデータ通信量を分け合えるデータシェアキャンペーンを競合他社に先駆けて発表していた。これに旧機種の下取りを組み合わせることで、今年の年末商戦はiPadも強力に売り込んでいくようだ。

マスコミ対応では「勝って兜の緒を締めよ」とはいかなかったが、事業面では打てる策を着実に打ってきたKDDI。好調だった上半期の余勢を駆って、通期業績の上方修正も十分視野に入ってきた。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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