名門レナウンの窮地、繰り返す大リストラの歴史

名門レナウンの窮地、繰り返す大リストラの歴史

10月15日、レナウンは傘下の英国高級ブランド「アクアスキュータム」の売却を決めた。中村実社長は重苦しい顔で語る。「アクアスキュータムは、160年近い歴史を誇るすばらしいブランドで今後の可能性も大いにある。個人的にも非常に愛着があるが、残念ながら売却を決断せざるをえなかった」。

かつての英国首相チャーチルも愛用していたと言われるこのブランドを、レナウンは1990年に約200億円という巨費を投じて手に入れた。買収後、2度にわたる増資に応じたうえ、その成長に陰りが見え始めた2006年には、新たなCEOを迎え入れ、再強化を図った。商品企画を刷新し、いったん撤退した米国展開にも再チャレンジ。ブランド強化に投じた金額は、06年からの3年間で約60億円にも上る。

今年2月の時点では「アクアスキュータムはわれわれの財産。(再生には)もう少し時間が欲しい」と請うた中村社長。これほどの肝いりブランドを断腸の思いで手放さざるをえなくなった背景に、レナウン本体が陥ったかつてないほどの窮状がうかがえる。

昨秋から続く衣料品不振は、月を追うごとに深刻さを増している。百貨店を中心販路とするアパレルは各社とも苦戦を強いられているが、レナウンの状況は特に厳しい。紳士服、婦人服とも売り上げ不振で値引きが増え、今09年2月期も営業赤字は45億円にも膨らむ見通しだ。

レナウンはアクアスキュータム以外にも「Jクルー」や「アーノルドパーマーメン」など、不採算の16ブランドを廃止することを決めている。昨年度の不採算ブランドは全体の約3割に当たる21、合計の赤字額は25億円超にも上る。それに合わせて、400人の人員削減も発表した。1100人の正社員から300人、400人の嘱託社員から100人の希望退職を募る。さらには、東京・五反田の本社ビル、大阪の商品センターなど、不動産価格下落のただ中にもかかわらず、急きょ複数の所有不動産を売却することも決めた。

中村社長は「本年度は徹底的にウミ出しをして構造改革を完遂する」と不退転の覚悟を強調する。が、実はレナウンのリストラは、決して今回に始まったものではない。かれこれ20年以上もの間、リストラを続けているといっても過言ではないのだ。

12期連続の営業赤字 再建に次ぐ再建の歴史

「イェイェ……」のレナウン娘が、テレビCMで一世を風靡したのは60年代のこと。そして、69年に発売した「アーノルドパーマー」が老若男女に大流行。「爆発的なワンポイントブームを巻き起こし、レナウンのブランド力を不動のものとした」(百貨店関係者)。これがレナウンの黄金時代だった。ところが、80年代後半には業績に陰りが見え始め、91年度には実に85億円もの営業赤字を計上。暗く長いトンネルに迷い込んだ。

ブランドの統廃合、不採算売り場からの撤退などを繰り返し、営業利益が浮上するのは、それから実に12年を経た02年度。その前年度に400人の人員削減と子供・ベビー服などの不採算事業からの撤退など、今回のような大規模なリストラを断行した結果だった。

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