フィリピン人に英語を習う時代がやってきた 【第3回】実はハイレベルなフィリピン英語

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5週間の間には、コンピュータの操作に始まって、ティーチング・スキル、授業運営、異文化理解、マナー研修までを広く学ぶ。さらにTESOL(Teaching English to Speakers of Other Languages)と呼ばれる英語教授法のプログラムを学び、デモ・レッスンを行って評価を受け、ようやくレッスン・デビューとなる。

私もセブまで出かけ、山本氏の計らいで実際に研修の様子を見せてもらったが、カラン・メソッドの講師たちに対しては、イギリスのカラン・スクールからトレーナーを招いて行う研修をはじめ、フィリピン人のトレーナーによる研修やロールプレイ形式のトレーニングも、頻繁に行われていた。

カラン・メソッドには、講師が注意を払い、セオリーを遵守すべき重要なポイントが複数ある。質問文を発話するスピード、生徒を誘導して答えを引き出す間合い、生徒の理解を促進する声の抑揚や表情、生徒のミスやおかしな発音を指摘し直す方法などは、その一部だ。それらをしっかり押さえた訓練を重ね、講師自身がメソッドの目的をよく理解し、常に正しいやり方を意識してレッスンを行うことで、高い効果が期待される。

セブには、高等教育を受けた意欲的な講師予備軍が豊富で、フィリピンで最も進んでいるといわれるIT事情が、安定したオンライン・レッスンの提供を可能にしている。講師研修さえ怠らなければ、セブ発でカラン・メソッドの優れた実践が可能になる。視察をとおして、そのことがよく理解できた。

オンラインも留学も、フィリピンはアジア英語研修センター

フィリピンは名実ともに、アジアの英語研修センターになりつつある。韓国は日本に先駆けて今から10年ほど前に、セブに初の韓国資本の英語学校をつくった。韓国のフィリピン語学留学ブームに火がついたのは、そこからだ。フィリピンなら地理的に近く、学費も滞在費も安くてすむ。学費は安いのに、マンツーマンという好条件で英語を学べるのだ。こうした背景から、英語圏の大学に留学を希望する韓国人の若者の間では、まずフィリピンで英語をマスターし、それから英語圏の大学へ進むという流れが、だいぶ定着したという。

英語を学ぶ日本人にとっても、フィリピンはますます身近な国となっていくだろう。英語学校が集中する地域は、首都マニラをはじめ、小アメリカと呼ばれるクラーク、山岳地帯に位置するバギオといった地域にも広がっている。

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