お金持ちが「個人版・決算書」を使い倒すワケ 富裕層の「お金マネジメント」にコツがある

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純資産の部に記載されるのは、P/Lで触れた貯蓄が積み上がった部分です。これは企業であれば利益剰余金として計上されます。図の下の矢印のようにP/Lでプラスになれば、それが純資産の部に積み増され、仮にP/Lがマイナスになれば、純資産の部から取り崩されることとなります。

このように、B/Sでは、自分がどのくらい価値のある財を築いており(総資産)、どのくらいほかからおカネを借りているか(負債)、差し引きで純粋な自分の資産がいくらあるのか(純資産)を整理することができます。このフレームワークでは、これまで自分がどのくらい資産を築いてきたかを把握することができるというわけです。

(図:『稼ぐ人が実践している お金のPDCA』より)

これらが個人のP/LとB/Sの基本的な考え方です。P/LとB/Sは密接に結び付いており、B/Sを改善することによってP/Lの数字も改善していきます。そして、P/Lで生まれた利益がB/Sに「利益剰余金」として積み上がっていき、P/LとB/Sの数字をともに相乗的に大きくすることができるのです。

おカネの不安を解消する4つの資産

これから「人生100年時代」を迎えるにあたり、「老後資金は足りるのか?」などといったおカネの不安にとらわれている人もいるでしょう。そんな時代だからこそ、個人版P/LとB/S上でさらに重要になる存在があります。

それが、目には見えない「人的資本」に対する考え方です。人的資本とは、主に次のような無形資産です。

・知識/スキル(金融知識・スキルを含む)
・健康
・人脈
・信用(ブランド)

専門的な仕事の知識や高度なスキルを身に付ければ、キャリアにつながり、結果として給与収入の増加にもつながります。

ビジネスにおいてはさまざまな分野における人のネットワークがそのまま稼ぐ力に直結しますから、人脈(人間関係)も重要な人的資本と言えます。

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