不偏不党と視聴者視点の経営理念以外は全部変える--福地茂雄・日本放送協会会長

不偏不党と視聴者視点の経営理念以外は全部変える--福地茂雄・日本放送協会会長

NHKの懸案となっていた2009~11年度の次期経営計画がようやく議決された。注目を集めたのは受信料の値下げ。橋本元一前会長らは、月額最大100円(約7%)の受信料値下げを盛り込んだ計画を提示したが、NHKの最高意思決定機関である経営委員会(古森重隆委員長)から「内容が不十分」と却下され、1年先送りとなっていた。そして今回も経営委員会と執行部が対立。最後は、経営委から異例の修正動議により「12年度から受信料収入10%還元」が明記され、決着した。

だが、NHK改革はこれからが本番だ。04年のプロデューサーによる番組制作費の着服や今年1月の職員によるインサイダー取引の発覚など、不祥事を頻発する組織風土を変えないかぎり、NHKに未来はない。今年1月にアサヒビールからNHK会長に転じた福地茂雄氏は、経営計画を基にNHKを再生できるか。

--10月14日に議決された経営計画では、受信料の値下げ問題で紛糾しました。値下げは1年前からの懸案にもかかわらず、なぜ、時間がかかったのですか。

(計画を策定した)半年間、ずっと受信料の議論をしていたわけではないのです。「受信料の話は最後にしませんか」と古森さんから提案がありました。それよりも先に片付けないといけない問題から議論しようと。マスコミに「受信料の話に終始して、本質的な議論はなされたのか」と書かれたけれども、そうならないように、最後に受信料の話を集中的に議論したのです。経営委員会で受信料10%還元の話が出てきたのは、10月に入ってからで
すよ。

もっとも、関連団体からの特別配当の問題とか、管理費をどこまで抑えられるかとか、きちんと決まらないと受信料の値下げの話に入れなかった。値下げの原資である繰越金が単年度のフローでどこまで上がるかがわからないといけないですから。

--地上デジタル化への追加投資660億円などで、11年度まで値下げは難しいという認識は両者とも一致していた。ただ、福地さんは12年度以降の値下げは明言しましたが、経営委が要求した値下げ幅の明記に難色を示していました。

(地デジに完全移行する)11年7月24日を境に受信環境が大きく変わる。それが、どう変わるかを想定するのはかなり難しい。受信料体系全体をもう一度考えていく必要がある中で、今、12年度の数字を決める必要はないというのが私の意見です。

それと、経営委には事前に経営計画は3カ年と確認してあります。デジタル化があるから基本的な考え方は5年先を見据えた計画を出しましたが、数値目標をコミットメントするのは、3年が精いっぱいですよ。

--ところが、経営委は異例の修正動議を発動しました。やり方に不満はありませんか。

経営委は、昨年7%の値下げを否決しているし、金額の問題が頭にあったのでしょう。経営委の修正動議については放送法上で認められていることです。修正された案が可決された以上、これを守るのが民主主義のルール。あとは気持ちよくやるように努力していきます。

--今回の経営計画は受信料に話題が集中しましたが、元をたどれば、NHKの問題の本質は、不祥事が頻発する組織風土にあります。

そこなんです。私がここに来たのはそのためだと思っている。組織風土を変えるのがトップの責任です。

NHKの商品は、迅速で正確な報道と視聴者に受け入れられる番組。これをつくるのは、NHKの中の人しかいないのですよ。ただ人材はすばらしいのに、相次ぐ不祥事の中で伏し目がちになっている。

NHKはタコつぼ的に縦の組織が強すぎた。親分子分とは言わないが、その中の一家的な風土が不祥事の源泉を生んでいる。中でも原籍主義といって、たとえば「政治部族」「経済部族」のように、最初に属した部が尾を引いていて、わが城を守ろうとする。ほかの部の人間が重要ポストに就こうとすると、怪文書が出てくる。そういう風土があったのでしょう。私のところにも怪文書が来ましたし(笑)。

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