大学の先生には、なぜ「留守」が多いのか 「大学教員」以前に「研究者」? 仕事としての「研究」のリアル

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昇進や業務評価も、ほとんど研究成果次第?

個々が研究を重視しているだけではなくて、制度のほうも研究重視に設計されている。昇進や業務の評価も、僕の実感では大部分、少なく見積もっても90%くらいは「研究」成果が上がっているかによっているような気がする。

逆に言えば「教育」や「事務」をちゃんとしているかどうかには、大学からの評価という意味ではごく低いウェイトしか与えられていないと思う(※そのため前回少し書いたように、大学教員が教育を頑張るかどうかは、個人の情熱だとか嗜好にかなり依存する)

そんなわけで、僕らにとって「本分」とも言えるのが、この「研究」なのだ。

けれど、正直に言って、研究について書こうとしてもなかなか筆が進まなかった。今学期はちょっと出張が多くて忙しかったこともあるが、それ以上に、研究の話なんて書いて面白がられるかどうかがよくわからなかったのだ。

(実は当初は、「研究」というからにはしっかりと「研究内容」をお話ししようという意気込みだったのだ。もちろん、自分では「自分の研究はメチャクチャ面白い」と思っているのだけど、ここに書くべきことなのかを考えると……)。

そして、研究内容については専門誌向けの論文を書くことで割と満足してしまうし、日本語での解説文も何回か書いたことがある。

著者撮影:研究者の日常の一部? これは、すごい自然の中にあるペンシルバニア州立大の先生のノートパソコンの壁紙。山登りにハマっている先生なのだが、自らこの蛇を撮影したらしい

では、自分の研究内容自体はとりあえず置いておいて、読者のみなさんが普段あまり耳にすることのないであろう、研究者という「お仕事」の日常を書いてみてはどうか、これまで仕事としての「事務」、「教育」を書いてきたのと同じように――と考えるに至った。

(でも、もし研究内容に興味を持ってくださる方がいらっしゃったら、ぜひご覧ください!)

※筆者自身の研究に興味を持ってくださった方は、ホームページのResearch欄を参照ください。Writing in Japaneseという欄に、日本語による解説の一覧があります。また新書でありながら踏み込んだ内容まで解説した超オススメの入門書として坂井豊貴氏の『マーケットデザイン:最先端の実用的な経済学』(ちくま新書)を挙げておきます。

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