なぜヤフーは創業来初の減益になるのか 一時的な利益減を覚悟でネット通販に全力投球

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肝心なのは、無料化戦略によって、どのくらいの出店希望者が来ているのか。その初速について、宮坂学社長は「非常に好調。興味ある人がこれだけいたという手ごたえを感じている」と顔をほころばせた。

コマース事業を率いるキーパーソン(10月7日撮影)

107日に出店無料化を打ち出して以来、出店の申し込みが個人は3万件近く、法人は25000件ほどに上っているという。

宮坂社長は国内のネット通販利用率がまだ低いことに触れ、ヤフーの出店無料化をきっかけに売り手を増やし、「山のサイズを倍にして、その中でてっぺんを取りたい」と宣言した。 

広告とネット通販を両輪に

ヤフーが狙うのは、売り手増加による買い手増加、流通総額の増加、そして広告収入の増加という好循環を生み出すことだ。「今までは広告の2ケタ成長が牽引してきたが、これからは広告とネット通販の両輪で2ケタ成長をしていく」(宮坂社長)。

20124月以降の宮坂新体制で掲げた「201X年3月期までに営業利益を2倍にする」という目標に向け、毎年の2ケタ成長を目指してきたヤフー。「Yahoo!ショッピング」による費用増で一時的な停滞期に入る。ヤフーにとって、今期は辛抱の時期といえるかもしれない。

ただ、爆発的に増加した出店申し込みのうち、どれだけが実際に店舗オープンに至るかも未知数だ。宮坂社長自身、「ある種“資料請求”的な面があると思うので、楽観はしていない」と話す。無料化戦略の成否を判断するためには、もう少し時間が必要といえそうだ。

長谷川 愛 東洋経済 記者
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