女優が「間借りカレー店」を始めた意外な事情 ブームの裏側にはドラマがあった

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恵比寿にあるスパイス125のラムステーキカレー。店にメニューは1つしかない(撮影:今井康一)
よく見慣れた光景も、「カレー」というフィルターを通すことで、別の世界が見えてくる。同一ジャンルのカレー店が目につく街、本業の裏でひそかに“カレー活動”する人、局地的に巻き起こるカレーの新潮流。そうした、カレー目線からこそ見える異世界=「カレー経済圏」を訪れる今シリーズ。
今回は、東京・恵比寿に軒を構える「スパイス125」(スパイス・アンドゥサンク)を訪れた。営業は平日昼だけの、いわゆる間借りカレー店だ。そして当店を1人で切り盛りする女性店主は、意外な本業を持っていた。

メニューは「ラムステーキカレー」一択

昨今「間借りカレー店」が、カレー業界でちょっとしたブームになっている。間借りカレー店とは、バーやスナックなどの店舗を、昼間などの営業時間外に借りて営業するカレー店のことで、関西ではヤドカリカレーとも呼ばれる。間借りカレーで“試験営業”した後、新たに実店舗を構えて成功した人気カレー店も少なくない。

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スパイス125も、そんな店のひとつだ。店舗そのものは、HOPS 125というビアバーのもので、その営業がないランチ帯に店舗を借り受け、カレー店として営業している。スパイス125の店主を務めるのは、嶋尾明奈さん(35)。本業は女優だ。名前はあまり知られていないが、現在は主にテレビドラマやバラエティ番組の再現ドラマなどに出演している。

スパイス125の唯一のメニューが、「ラムステーキカレー」。ラムの肩肉を焼き、それを多種の野菜を溶かし込んだカレールウと合わせたもので、羊肉が鉄板でジュウウと焼き上がる香りが猛烈に食欲をそそる。

ラムステーキカレーは、副菜とデザートが付いて1000円。写真は、パクチー(50円)と和山椒(20円)トッピングを付けたもの(撮影:今井 康一)

ただ、肉がっつりの男らしいカレーかと思いきや、実はヘルシーさもウリだ。ルウは小麦粉を一切使わないグルテンフリー仕様で、動物性油脂も使っていない。「毎日食べてももたれない」がモットーだ。スパイスは12種類を使用。ライスは玄米で、ライスの量は5段階で調節可能だ。大盛りでも料金はプラスされない。一緒に供されるキャベツの酢漬けとチリペッパーをカレーに加えることで、肉の香ばしさと酸味、辛みが同居したエキゾチックな一皿が完成する。

次ページ入店して退店するまでが1つの“小劇場”
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