オトク度アップ、「auスマートパス」の新戦略 高級レストランが55%引き。キーワードは「ラッキー」

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三越伊勢丹ホールディングスは1030日以降、KDDIが4月に出資したモバイルECプラットフォーム「Origami(オリガミ)」を通じ、スマートパス会員向けに限定商品を紹介したり、来店したユーザーを対象に、抽選で商品券をプレゼントする、といった取り組みを始める。

エイチ・アイ・エスもスマートパス会員向けに、特別価格で海外ツアーを提案する。割引クーポンや特別ツアーも提供する計画だ。さらに、ネット宿泊予約サービスを手掛ける一休も、10月25日から、特別価格の宿泊プラン、通常価格の55%引きの高級レストランプランなどを提供する。

高橋専務が直談判

エイチ・アイ・エス、一休の両社には高橋専務が出向き、限定特典を提供してほしいと直談判したという。両社の回答は即「OK」。企業サイドとしても800万人の会員に直接、商品をアピールできる機会はそう多くはない。会員数が急速に拡大していることを追い風に、KDDIにとっても協力を要請しやすい環境になっているようだ。

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スマートパスの「タイムライン」には常に最新情報が流れてくる。今後はラッキーマークのお得情報を大幅に増やす計画だ

スマートパスの「タイムライン」には、ニュース、天気、ゲームの話題など、最新情報をつねに更新している(写真)。ここに登場する黄色い星の「ラッキー」アイコンがおトク情報の目印だ。提携企業が広がったことで、ラッキーの登場頻度も2~3倍に増やし、30分に1回程度登場させるという。

スマートパス推進部長の繁田光平氏は「ユーザーさんから頂いた原資を使うことによって、パートナー企業も人気・売れ筋商品を提供できる。今後も無料クーポンではありえない、高いレベルの特典を提供していく」と意気込む。

9月にNTTドコモがiPhone販売を開始したことで、携帯3社の取り扱うスマホは横並び状態となった。価格による差別化も難しくなっている。そこで注目されるのが各社の独自サービスだ。

KDDIにとって、スマートパスはユーザーを引きつける重要サービスのひとつという位置づけ。他社にはない魅力により、シェア争いを有利に進めていくことを目指す。

とはいえ成功を収めた施策については、ライバルもあっという間に追随するのがこの業界の常だ。それだけに、スピード感を持ったサービスの拡充を続けられるかどうかが、成功の鍵を握ることになるだろう。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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