アベノミクス相場の後半には、何があるのか 山崎 元が読む、ちょっと先のマーケット

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民主党政権下での円高・不況・デフレ、そしてアベノミクスに転換してからの株高、しかし、今年の5月23日にはブラックマンデーほどのスケールはないし、今度は日本が震源だったが、株価が大きく下落して、相場は調整に入った。

ここまでの経緯が、ブラックマンデー前後に似ていることはおわかりいただけよう。筆者が87年を気にしているのは、かつては「(ブラックマンデー後の)世界経済を牽引するため」だったものが、今度は「インフレ目標2%を達成するためには」と建前が変わるとしても、向こうしばらくの間、金融緩和政策が続くという条件が共通であることだ。つまり、「これまで」だけでなく、「これから」も1980年代後半の展開と似てくる可能性がある。今後の展開が「1988年」あたりに似る公算は小さくない。

「壮年」と「初老」の違い

もっとも、いくら金融政策の環境が似ているとしても、成長率で4%くらいが当たり前の、人間でいうと「壮年」期(の終わり)だった日本経済と、経済が成熟し、人口が減少に向かい、1%成長なら上々で、2%も成長すれば立派だという現在のいわば「初老」のような日本経済とでは、いささか調子が異なるかも知れない。

とはいえ、同じ人間が、たとえば恋愛や喧嘩など似た状況に遭遇した場合、たとえば、30代でするものと、50代でするものとが、似たものになる可能性は大きいのではないか。たとえば、「恋愛」は精神的には典型的なバブル現象だ。今週の天皇賞に出走するエイシンフラッシュのごとく、東京競馬場で、スローの直線ヨーイドン的な上がり勝負(3F=600メートルで33秒前後)ができると、1着に飛び込んで来る(一昨年・ダービー、昨年・天皇賞、今年・毎日王冠)、同じパターンにハマる可能性を相場にも考えておきたい。

ここで気になるのは、87年10月に、ブラックマンデーに伴う一頓挫があった日本の株式市場が、どのようなペースで回復したかだ。

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