サッポロがいまSNSを強化する意味 オラクルイベントで見えたソーシャル攻略法

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サッポロビールの森勇一氏、講演後に単独取材に応えてもらった

そもそも、サッポロビールがソーシャルに力を入れた背景には、2010年頃から同社のウェブページへのアクセスが減っていたことがあった。「ソーシャルのほうに人がいる状態になっていた。ただ、あくまでも本店はウェブ。人通りの多いソーシャルに出店して呼び込もうと考えた」(森氏)という。毎日夕方に配信するコンテンツについては、酒の肴レシピが鉄板という。お酒に合うものに限定し、しかも短時間でできるもの中心。これを月曜中心に配信している。合間には新製品情報やキャンペーン、プレゼントなどを入れて、ファンとの関係を築いている。意外に注意しているのは、ビールなどの画像。同じものを使わないように、日々の飲酒でも撮影を忘れないようにしていると森氏は説明した。

そのサッポロのソーシャルに対する取り組みの強さがさらに鮮明となったのが、今回、オラクルのソーシャルメディア管理アプリを国内企業で初めて導入したことだ。

オラクルの新製品を国内初導入

10月16日、日本オラクルは、新製品「オラクル・ソーシャル・リレーションシップ・マネジメント(オラクルSRM)」の国内提供の開始を発表。同時に先行事例としてサッポロビールが日本初採用した旨も明らかにしていた。

オラクルSRMは、クラウド型のソーシャルメディア管理アプリケーション。ソーシャルメディア上でのブランドの存在感を確立し育てるためのツールだ。オラクルが12年に買収したコレクトインテレクト、インボルバー、ビットルーの3社の製品を統合したもので、フェイスブック、ツイッター、グーグル+へ一括投稿できる簡便さに加え、ブランドの一貫性も保つことができる。マーケティング効果としても、「いいね!」の変遷、投稿へのリアクション分析、性別・年代別・地域別比較、曜日・時間帯別比較など一般的に必要とされる機能をすべてそろえる。さらに、キャンペーンなどのイベントもかんたんに打てる仕組みになっている。読者による投稿写真のアップなどもスムーズだ。

つまり、コンテンツの作成からメッセージング、反応のモニタリング、効果測定分析まで一貫でできてしまうサービスだ。

サッポロビールでは、日本オラクルの営業担当者に3回説明を受けただけで導入を決めた。効果はさっそく表れ、コンテンツ作成のスピードアップに加え、クラウドであるため、イベントのたびにサーバー設定などで膨らんだコストを大きく絞り込むことができたという。そして、同社がオラクルSRMを導入して、間もなく実施したイベントがハロウィン企画だ。

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