アイマスクでお茶、三井住友海上が視覚障害体験セミナー


 「食べようと思ったら、フォークにケーキがなかった」

これはこの8月、三井住友海上名古屋ビルで行われた「視覚障害者ガイドヘルプセミナー」参加者の言葉だ。コーヒーにポーションのミルクとガムシロップを入れ、皿に置かれたケーキを食べる。目が見えている状態なら、なんでもないこと。だが、アイマスクを着用しただけで、とんでもない難行苦行となる。ほかにも「味が半減」「皿のある位置はわかっても、ケーキが切れない」など、視覚に障害を持つ人たちの苦労を追体験した参加者からは、ため息ともつかない声が漏れる。

このセミナーは、三井住友海上の中部支社が企画し、「丹羽視覚障害者の会」と共同で実施したもの。街で視覚障害者の人を見掛けても、どのようなサポートが必要か、またどのようにすればちゃんとサポートができるのかなど、わからないことも多い。そこで視覚障害者を道案内する方法や、盲導犬に先導されながら歩くとはどういうことかなど、実際に体験を通して理解を深めようというものだ。

そもそもセミナーが開催されたのは、同ビル1階にある「カフェ・アイリス」を運営するNPO法人「スペイス21」がきっかけだ。スペイス21は、障害者や高齢者たちが、能力を最大限、発揮できる場所を設けることを目的としている。その一環としてスペイス21は、1999年より三井住友海上から同ビルの喫茶スペースを無償で借り、光熱費受給でカフェ・アイリスを共同運営している。スペイス21の澤木富枝代表は、カフェ・アイリスの従業員が障害者であることを知っている三井住友海上の社員が利用者の大半であるため、「従業員が安心して働ける」と言う。また、従業員がラッシュを避けて通勤する必要があることから、朝10時半から夕方4時までと短い営業時間の設定を認めるなど、三井住友海上も働きやすい環境を提供している。

カフェ・アイリスの経営・運営会議の席上で、スペイス21から丹羽視覚障害者の会への寄付が提案された。そこで、単なる寄付ではなく、このガイドヘルプセミナーを開催し、寄付の代わりに講師料としたのだった。

(生保・損保特集編集部)

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