なぜ永谷園はビアードパパを買うのか 「味ひとすじ」の永谷園が100億円の買収に打って出た

拡大
縮小

しかし、近年はお茶漬けやみそ汁類の売り上げは伸び悩んでおり、人口減少などから国内市場の縮小も見込まれる中、手をこまぬいていられなくなったのが実情だろう。そして、「昨年創業60年を迎え、次の30年を乗り切る新機軸」(掛谷氏)として、今回の大型買収に踏み切ったわけだ。

和風スイーツの海外展開も視野

麦の穂HDの傘下には多くのブランドがある。写真は「36Sticks」のスティックケーキ

今後の具体的な連携策として、まずは永谷園が持つ量販店とのパイプを生かし、「ビアードパパ」を中心に出店を加速する考え。また、永谷園の製麺子会社から麦の穂HDのうどん店への原材料供給、共同購買による費用削減効果も視野に入れる。

肝心の海外事業では、「米国、中国、東南アジアを重点地域として和風スイーツなどのテイクアウト店の展開を考えている」(掛谷氏)と話す。

昭和28年の創業から「味ひとすじ」を企業理念とし、国内市場で地道にやってきた永谷園は、今回の買収で海外進出拡大の布石を打った。今後の成長戦略を占ううえで、重要な大型買収であることは間違いない。

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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